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日本経済新聞(2006年9月15日)  建設通信新聞(2006年8月2日)
全国賃貸住宅ニュース(2005年5月5日)  住宅新報(2004年5月4日)
日本経済新聞(2002年9月10日 ) 日刊工業新聞(2002年2月4日)
雑誌・専門誌 月刊プロパティマネジメント 2012年2月発行最新!
再開発コーディネーター 2011 No.152 2011年7月発行
月刊不動産流通 2011年4月発行
月刊ネオス 2010年8月発行
月刊不動産流通 2010年4月発行
月刊ネオス 2009年7月発行
月刊不動産流通 2009年4月発行
KTS通信(パナホーム株式会社近畿特建支社情報誌) 2008年8月発行
月刊ネオス 2008年7月発行
KTS通信(パナホーム株式会社近畿特建支社情報誌) 2008年5月発行
建築ジャーナル 2007年11月号 (2007年10月1日発行)
KTS通信(パナホーム株式会社近畿特建支社情報誌) Vol.02 2007年8月発行
KTS通信(パナホーム株式会社近畿特建支社情報誌) Vol.11 2006年1月発行
建築ジャーナル 2005年8月号 (2005年7月1日発行)
ESTRELA (2004年10月号)
建築ジャーナル 2004年9月号 (2004年9月1日発行)
Evaluation 2004年NO.13 (2004年5月15日発行)
月刊プロパティマネジメント(2003年9月号)

日刊工業新聞(2012年2月8日)

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月刊プロパティマネジメント(2012年2月)

大阪地区のオフィス・商業・住宅の土地価格と賃料相場について専門的な分析を行っている難波不動産鑑定の難波里美社長も同様の認識を持つ。
「大阪のファッション市場が強いのは、関西の若い女性が親と同居している比率が高く、自由裁量できるお金が多いからでしょう。とくに商業施設では阿倍野(天王寺)に開業したキューズモールが好調です。梅田や難波と比べれ都会性に欠けているエリアですが、人口密度が高く、文教エリアで著名な学校が集積していることもあって注目すべきエリアとなりつつあります。キューズモールにはティーンエイジャーからファミリー、中高年まで多様な客層が集まっており、マーケットの潜在力を感じさせます。テナントの109には10代ばかりか40代以上まで集客しています。渋谷とは大違いの状況で、これが大阪のおばちやんパワーなんです」(難波氏)。
レジデンシャル市場も相対的に地盤沈下しているのが実情。都心ワンルームの賃科は未だに下げ止まっていない。しかし、阿倍野・天王寺地区はキューズモールの盛り上がりに注目してか、住宅用地取得が非常に活発化しているという。「賃料はさほど高くはとれないでしょうが、安定的な利回りを志向するファミリーマンションの投資に向いた地域となりそうです」(難波氏)。
大阪は中心に向かって収斂する一極集中型マーケットヘとさらに加速していくとみられる。そのなかで、エリア的に注目されていないポテンシャルをもつ阿倍野のような地域もある。人□減少都市とはいえ、東京都区部に匹敵する人□密度を誇る大都市の可能性に着目したい。

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朝日新聞(2012年1月13日)

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大阪日日新聞(2011年8月16日)

新分野でニーズ先取り

開業時期がちょうど大阪市鶴見区の鶴見緑地で開かれた「国際花と緑の博覧会(花博)」の開催や、国土法の改正と重なったこともあり、当初から仕事は多く、順調なスタートとなった。
独立後も、不動産コンサルティング技能者、ビル経営管理士、補償業務管理士、ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を取得するとともに、異業種交流会などへも積極的に参加。知識や技能を蓄積するとともにネットワークを築いていった。
業務としては、不動産の鑑定評価をメーンに、不動産活用に関するコンサルタント、地域開発・都市開発・環境整備に関する調査・研究・企画、公共用地補償に関するコンサルタントなどを展開。公職としても、芦屋市固定資産評価審査委員、大阪市住宅供給公社理事、堺市国土利用計画法届出価格審査委員など多くの業務に携わっている。
開業から約20年間で7人の不動産鑑定士を育てるなど、順調な経営が続いていたが、2年ほど前から主力の鑑定業務に陰りが出てきた。これまで随意契約が多かったため、一定の価格が維持されていたが、入札制度が導入されるようになり、採算を度外視して契約を獲得する業者が増加。建設事業のように下限がないため、価格が一気に下落した上、不動産投資自体も減少している。
このため、同社は「不動産コンサルティングに軸足を移す」方針で、現在、具体的に進めている事業が「ガソリンスタンド利用再生プロジェクト」だ。これまで築いてきたネットワークを生かし、石油の卸元の企業や店舗開発事業者などの協力へ得て、大阪だけでなく、東京や名古屋でも営業を展開している。100坪から300坪程度の比較的小規模なガソリンスタンドに対して、セルフのガソリンスタンドや観光バス事業の車庫への転換などで実績を上げており、高齢者専用賃貸住宅の運営なども提案している。
20年以上にわたって蓄積してきたデータやマーケティングのノウハウを生かすことができる分野で、「人は次にどういうものを求めるかを考えることが好き」という好奇心を原動力に新分野を切り開いている。

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再開発コーディネーター 2011 No.152(2011年7月15日)

阿倍野再開発にみる容積率の使い方

平成23年4月26日大阪市阿倍野区にファッション専門店街「SHIBUYA109ABENO」、「イトーヨーカ堂」を核とした254店の一大ショッピングセンター「キューズモール」がオープンした。「キューズモール」は、阿倍野地区第二種市街地再開発事業の最後のAブロックに建設されたものである。北隣には、2012年度完成予定の住宅、ホテル、商業施設の複合施設「あべのnini」が建設中である。この完成を待って、阿倍野再開発事業は終結することとなる。
私事で恐縮であるが、阿倍野再開発地区内の鑑定業務に昭和52年から30年間携わってきた。大学を卒業して某鑑定機関に就職してすぐの仕事であった。施行前の金塚地区は、連棟式住宅やアーケード商店街が混在する住商混在地域で、夏の夕方ともなれば縁台を出して、ステテコ姿の老人達がうちわを片手に世間話に興じていた様子が今でも目に浮かぶ。大きなカメラを下げ、うろうろ歩き回って警官に不信がられて職務質問を受けたのも、今となってはいい思い出だ。
阿倍野地区は、JR、近鉄、阪堺軌道が集合する天王寺・阿倍野ターミナルの南西至近に位置する面積約28haを昭和51年に都市計画決定し、4ブロック(A〜D)に分け事業を進めてきた。事業年度は昭和51年度から平成24年度、今年は事業開始から35年目にあたる。35年の間には、昭和末期から平成2年までのバブル期は土地買収費が高騰し、バブル崩壊後の長らく続いた地価下落も、再開発事業の向い風となった。
「キューズモール」の南にある再開発ビル「あべのベルタ」は、昭和62年9月に完成。当初は核店舗にスーパー・百貨店が入店したものの、地下1階のスーパーを除き、核店舗は次々とテナントが入れ替わり、現在1階はパチンコ店が出店している。権利床のフロアも空室が目立ち、北隣の「キューズモール」の賑いとは対照的な様相を呈している。
「あべのベルタ」の失敗から「キューズモール」「あべのnini」は、特定建築者制度を採用した。しかしながら、「キューズモール」は、すんなり今の姿に決定したわけではない。平成6年には、百貨店が核店舗となって延べ41万u、地下3階地上63階の超高層店舗・事務所・ホテルプランが公告された。このプランは指定容積率800%を超える931%であったが、結局実現せず平成13年に外資が延べ29万uの地下3階地上31階の超高層店舗・事務所・ホテルプランを発表した(図参照)。このプランは630%の容積率で指定容積率を下回った。この計画も不調に終わり三度目の正直で平成16年、現在の「キューズモール」のプランとなったのである。
「キューズモール」は、地下2階地上6階延18万uの店舗・駐車場(図参照)で、容積率は486%と指定容積率の6掛となった。このことは、これからの再開発事業の計画策定に何が必要かを示唆している。計画立案は、まず高容積率ありきではなく、需要調査を第一にするべきということだ。
再開発プランナーは、ともすれば完成後の街のイメージからポテンシャルを計っているが、本来は再開発地区の需要と見合った計画でなければならない。阿倍野再開発事業は、長期の事業期間の中でようやく需要に見合ったプランが落ち着いた。今後の再開発プランには高容積率第一主義に別れをつげ、街づくりに他のキーワードを見つけるべきである。
例えば、イタリアミラノ・サンタジュリア再開発では111haの内、中心部に33haの緑地公園を設置し、27haの住宅エリアに2,000戸の住宅供給計画である(阿倍野再開発は28haに3,010戸)。公園、住宅以外では、通信金融産業地区16.27ha、商業地区3ha、幼稚園・小学校0.15ha、教会0.12ha、コングレスホール3.2ha、障害者センター0.56ha、学生・研究者寮、公団住宅等5.25ha、シビックセンター0.14haの構成である。
最後に「キューズモール」は、開業後1ヶ月で430万人が来店し賑わっているが、反対に衰退している「あべのベルタ」「あべのマルシェ」等の商業施設を活性化しなければならない課題は残っているのである。
来年、建物が全て完成し再開発事業は終了というような結末は誰も望んでいないことを、事業者は肝に命じていただきたい。

平成13年外資プラン

キューズモール

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週刊ビル経営(2011年4月4日)

近畿エリアの地価下落続く

平成23年地価公示結果の近畿の府県別・用途別の年間変動率は以下の表の通りで、全ての府県で地価下落が続行しています。
大阪府の住宅地の変動率は年間▲2.6%(前年▲4.8%)で下落幅は縮小した。地域別にみると、大阪市は▲5.6%から▲2.9%、中心6区(北区、福島区、中央区、西区、天王寺区、浪速区)は▲6.3%から▲1.9%と、下落率は急速に収束しつつある。特に福島区の住宅地は±0%となりました。住宅地については、エコ住宅ポイントの創設、住宅ローンフラット35の金利優遇措置が効を奏し、需要の回復がみられたことが下落率縮小の要因となりました。
大阪府の商業地の変動率は年間▲4.6%(同▲8.9%)で住宅地と同様、下落幅が縮小した。大阪市は平均▲11.7%から▲5.9%と下落幅はほぼ半減、繁華性の高い中心6区でも平均▲5.4%(同▲12.0%)と下落幅は減少しました。しかしながら、高度商業地については下落率が大きく、中央区難波3丁目の御堂筋沿いにある積和MAST難波ビルの下落率が▲20.0%と全国商業地で最大の下落率となった他、全国商業地変動率ワースト10(下落率の大きい順)の内、6件が大阪市中央区、北区の公示地が入っており、大阪都心部への不動産投資の減退やオフィス需要の低迷が反映される結果となりました。
大阪府下の工業地は、全地域の平均変動率が▲3.8%(同▲5.4%)で下落幅がやや縮小したものの、不動産投資の減退や設備投資抑制等の影響により住宅地に比すると、その下落率は大きい結果が出ています。

【6府県の用途別地価変動率】 (単位 %)

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日刊ケイザイ(2011年3月7日)

大阪のオフィス機能、梅田北ヤードに集約

◇「北浜はもともと株屋さん、証券会社の街だったのですが、いまは数えるほどしかありません。その東側の谷町筋にはマンションが目立つようになり、オフィス街とは言いがたい状況になっています。大阪は、本社の東京移転が進み、支店経済になってしまっているんです」と語るのは、難波里美・難波不動産鑑定社長。
三鬼商事株式会社によると、1月末時点で大阪ビジネス地区の平均空室率は12.02%(前月比0.14ポイント上昇)。大阪のオフィス街は、御堂筋、四ツ橋筋、堺筋、谷町筋の各筋に接する形で分布しているが、その規模は年々縮小している。

◇「調査したことがあるのですが、谷町筋にマンションが建つようになってオフィス街としての価値がどんどん下がり、これが北浜まで侵食してきています。
結局、オフィスビルの需要がないから、都心居住ということでマンションがどんどん市内中心部に集まり、加速していく。こうした現象を放置したままでいいのでしょうか」

◇ 難波社長は関西経済同友会の北ヤード委員会のメンバーでもある。
「私は同友会が提案している緑化プランに当初から賛成でした。その上で、大阪のオフィス機能を御堂筋と北ヤードに集約するぐらいの、思い切った都市改造プランをやってもいいのでは、と思っています。北ヤードにはマンション計画も入っていますが、持論としては、マンションが入ってしまうとビジネスの場ではなくなってしまう。住居とオフィスは相容れないものなんです」

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月刊不動産流通 2011年4月発行

賃貸住宅市場・近畿圏 〜どうなる?2011年の不動産市場〜

ファミリー向けタイプ「2K−2LDK」は供給増

図表1は、2000年から2011年までの大阪市と近畿圏主要市(大阪市を除く大阪府、神戸市、明石市、阪神間6市、京都市、奈良市、大津市、和歌山市)の新築賃貸マンションの供給割合をタイプ別に表わしたものである。
2000年〜2008年にかけて、「1R」「1K−1LDK」の供給が増加傾向にあり、2008年には、大阪市全体の87.7%、近畿圏(大阪市除く)全体の78.4%が単身者向けタイプであった。
ところが、2009年から大阪市、近畿圏ともに単身者向けタイプの供給は縮小し始め、「2K−2LDK」の供給が増加傾向にある。2011年は、大阪市は「1K−1LDK」の供給割合にほぼ変化はなかったものの、「1ルーム」と「3K−3LDK」のタイプの供給が減少し、「2K−2LDK」が対前年比で約3ポイント上昇した。近畿圏では、「1R」「1K−1LDK」の割合が減少し、「2K−2LDK」「3K−3LDK」のファミリー向けタイプが増加した。「2K−2LDK」は、対前年比3ポイント上昇と大阪市と同様、伸び率が最も大きい。
ただ、供給タイプの全体量からみると、「1K−1LDK」が大阪市、近畿圏とも6割を占めている。「2K−2LDK」供給増加の理由として、1 単身者向けタイプが供給過剰になっていること、2 カップル向けの2居室タイプの新規供給は、分譲マンションと競合するため、長年供給抑制が続行していたが、不況に伴う所得減少、あるいはマイホームを手離すといった事情により、ファミリー向け賃貸の需要が増加したこと、3 団塊ジュニア世代が第1子を持つ年齢層に達し、ファミリー向けタイプを選択し始めていること、4 最近の家族数の減少を受け、3居室タイプより2居室タイプを選択する需要が増加していること、5 共同生活(ルームシェアリング)、兄弟姉妹などで単身者同士が住まう需要の増加等が考えられる。

図表1 <大阪市と大阪市以外の近畿圏>
(2008年より近畿圏に大津市と和歌山市を含む)


単身者向け・ファミリー向けタイプともに賃料下落

次に2009年〜2011年(1月時点)の近畿圏全体(大阪市も含む)のタイプ別総額賃料、専有面積、賃料単価、一時金月数を分析した。

1 「1R」タイプ
供給件数は、減少傾向にある。総額賃料は、63,000円台で、対前年比△6.0%。専有面積は、29.83uで2010年より0.19u拡大した。賃料単価では、対前年比△4.3%、一時金月数は、3.0ヵ月で変化はない。(図表2)

2 「1K−1LDK」タイプ
供給件数は、減少傾向にある。総額賃料は、対前年比△5.9%。専有面積は、34.92uで前年より0.34u縮小した。賃料単価は、△4.4%。一時金月数は、3ヵ月で変化はない。

3 「2K−2LDK」タイプ
2011年の供給件数は、2010年の362件から431件と対前年比19.1%増となった。総額賃料は、△13.1%の大幅下落。専有面積は、58.56uで前年より2.79u縮小した。賃料単価では、△6.6%、一時金月数は、3.6ヵ月で変化はない。(図表4)

4 「3K−3LDK」タイプ
2011年の供給件数は、2010年の120件から132件と増加した。総額賃料は、対前年比△21.7%の大幅下落。専有面積は、77.88uで前年より3.52u縮小した。賃料単価は、△15%、一時金月数は、3.2ヵ月と前年より1ヵ月分下落した。

「1R」や「1K−1LDK」といった単身者向けの供給件数は減少し、総額賃料は、「1R」「1K−1LDK」ともに△6%前後の下落、賃料単価は△4%台の下落で、下落率は似通っている。専有面積は、いずれも1u未満の変動であり、一時金月数は、いずれも3ヵ月と同値であった。
「2K−2LDK」や「3K−3LDK」といったファミリー向けの供給件数は増加したが、総額賃料、賃料単価、専有面積は減少し、一時金月数も「3K−3LDK」は1ヵ月減少した。「2K−2LDK」は、総額賃料は大幅下落しているが、賃料単価では△6%台にとどまっている。
「3K−3LDK」は総額賃料、賃料単価ともに2ケタ台の大幅下落となったが、この要因は主として総額賃料、賃料単価の高い大阪市の件数が激減したことや、近畿圏各都市で当該タイプの供給が増加したためと考えられる。

図表2 1R

図表3 1K−1LDK

図表4 2K−2LDK

図表5 3K−3LDK


賃料の動きは二極化がますます鮮明に

地域別動向をみると、大阪市の単身者向け賃料単価では、賃料単価の下落が続行している。
ところが、「2K−2LDK」では、中心区と大阪市湾岸に面した区エリアは、賃料単価は下落しているものの、他の区エリアでは上昇に転じている。
大阪府下では、単身者タイプは賃料下落が続き、「2K−2LDK」は賃料単価が横ばいもしくは上昇している。(ただし、南大阪エリアと豊中市、吹田市は下落が続行。)
神戸市では、単身者向けタイプの賃料単価も「2K−2LDK」の賃料単価も下落しているが、阪神エリアでは、単身者向けタイプは上昇し、「2K−2LDK」は下落している。
京都市では、単身者向けタイプは賃料単価が下落し、「2K−2LDK」は上昇している。ただし、専有面積が拡大しているため、単身者向け総額賃料は、わずかながら上昇となっている。ファンドバブルがはじけたリーマンショック以降、都心部の単身者向けタイプの賃料は下落が続行していたが、京都市ではようやく実需ベースまでの賃料水準に戻ったため、需要が回復してきたと考えられる。
いまだ賃料が高止まりの大阪市、神戸市は、賃料下落は続行し調整局面にあるが、利便性の高い住宅地のファミリー向けタイプのなかでも徳に「2K−2LDK」は、需要が回復し始めており、賃料下げ止まりのエリアが見受けられる。
以上の傾向を、更に細分化した市町単位でみていくと、いわゆる人口・世帯数が継続的に増加している地域では、賃貸市場の市況は持ち直し始めているが、反対に人口・世帯数が減少している地域では、賃貸市場は低迷している。こうした二極化は、今後も続行していくことが予測される。
なお、今回調査では、全エリアで一戸建ての新規賃貸が増加していることもわかった。転勤等のリロケーションタイプではなく、60u台〜70u台の賃貸目的の戸建てが多く、家賃は110,000円〜120,000円の設定が多い。建築費1,500万円位までであれば、120,000円の家賃だと表面利回り9.6%と悪くない。ただし戸建てという特性上、空室リスクは高くなる。
賃貸住宅は、駅近立地が需要の選択条件としてトップに挙がってくるが、戸建て賃貸は、駐車場設置を2台程度確保できて、住環境が良ければ最寄駅から多少離れているなど立地条件が悪くても需要はある。
しかしながら、修繕等については、借主・貸主との間で明確な負担区分を決めた上で、契約を結ばないと後々、トラブルになる恐れがあるに注意すべきである。
「2K−2LDK」と同様、戸建て賃貸の供給増は、ファミリー層の実需が回復してきている表われといえよう。



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全国賃貸住宅新聞(2010年12月20日・27日(合併号))

都心の住宅における駐車場の必要性

平成10年以降、大阪市の中心6区(北区、福島区、中央区、天王寺区、西区、浪速区)の人口は転出者数よりも転入者数が上回り増加傾向にあります。
大阪市の人口移動調査によると、移動の中心となっているのは20歳代の男女であり、リーマン・ショックで数は減ったものの、近年都心6区における分譲・賃貸住宅の供給は著しく、特に貸家は都心6区だけで大阪市全体の貸家の約1/2を供給しています。
都心部は、市営地下鉄各線が縦横に、JR大阪環状線からは放射状に鉄道網が敷設されており、自家用車がなくても不便はありません。
地元の宅地建物取引業者にヒアリングいたしますと、一般的に都心での需要対象が若年層では駐車場の必要性が低いが、ファミリー層や中年層では都心でも駐車場の必要性は高くなるということです。また市外からの転入者はマイカーを手放して都心部に移住してくる層が多いことも併せて聞きました。それでは都心の賃貸マンションで駐車場の有無ではどちらが優位でしょうか。
そこで以下の分析を行ってみました。
一つは大阪市中央区の賃貸事例の登録日(レインズへの登録)から成約日までの日数を市場滞留期間として駐車場の有無で差があるかどうか、二つ目は駐車場の有無で家賃に高低があるかどうかを調査してみました。
結論からいうと、市場滞留期間の調査では中央区についてみると駐車場がある場合の滞留期間は29.7日、駐車場がない場合の滞留期間は31.8日でどちらもほぼ1ヶ月と同程度でした。ただし、収集事例件数は、駐車場がある事例が9件、ない事例が108件と事例件数に偏りがあるため統計的にその誤差が大きくなります。そこで、都心6区について同様の調査をしてみると、駐車場がある場合の滞留期間23.0日、駐車場がない場合の滞留期間29.3日で駐車場がある場合の滞留期間の方が約1週間短い結果を得ました。
次に、中心6区における市場滞留期間と占有割合をまとめてみると(グラフ1、2参照)。
駐車場がある場合については、滞留期間「1週間以内」が27%を占め、1/4以上が「登録から1週間以内」に成約に至っています。
駐車場のない場合は、「1週間以内」は18%、「成約まで2ヶ月超え」が14%であり、駐車場のある物件が市場で優位なことがわかります。

さて次に、駐車場の有無による家賃への影響を都心6区でワンルーム等の単身者向け賃貸住宅の成約事例(223件)を重回帰分析を用いて検討してみました。
数式については省略いたしますが、結果は駐車場なしの月額賃料78,199円に対し、駐車場ありの月額賃料は79,129円、その差は930円でありました。
以上から、駐車場ありの賃貸住宅の方が駐車場のない賃貸住宅よりも市場性に優れるけれども、賃料における開差率は僅か1.2%と僅少であり駐車場がないことによる大きな市場性の減退はみられませんでした。

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全国賃貸住宅新聞(2010年11月15日)

内装・設備のリース体制が普及の鍵

SI住宅は、建物のスケルトン(柱、梁、床などの構造躯体)とインフィル(住戸内の内装、設備など)を分離されている形態で、ユーザーが図1のように簡易可変間仕切りするSI住宅などで自由に間取りが変更できるなど、前回はSI型住宅の実例とそのメリットについてお話しました。
躯体を賃貸住宅オーナーが所有、インフィルは賃借人が負担するSI住宅。オーナー・賃借人の双方にとって負担が大きすぎるという理由で賃貸マンションではあまり普及していないのが現状です。

今回はSI住宅のデメリットと、今後の賃貸住宅における課題点について解説していきたいと思います。
まず、ユーザーにとっては以下のデメリットがあります。

1. 長く住むにはいいが、転勤等で退居するとき、自分が設置したインフィルが転居先でも使用できるとは限らないこと。
2. 入居に際し、初期コストが高くなること。
大阪市北区の民間経営のSI賃貸住宅では、転居する入居者が自分の設置したインフィルの購入者を自分でみつけてきてその購入者が新たな賃借人となりました。
オーナーにとっては、入居者審査をしたいでしょうから、自分の知らない間に入居者がチェンジしていたという事態は避けたいところです。
江戸時代の長屋住宅はスケルトン貸しで、ユーザーは建具、畳をリースして暮らしていました。
インフィルがリースできればユーザーの初期コストも軽減し、オーナーも安心して入居管理ができます。
このようにまだまだSI賃貸住宅が、普及するためには数々の問題をクリアしていく必要がありますが、海外の住宅は、100年、200年たってもスケルトンはそのままでインフィルだけを替えて住み続けています。
日本もスクラップ&ビルドの時代に別れを告げ、100年、200年もつ住宅を美しい町並みとともに後世に伝えたいものです。

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全国賃貸住宅新聞(2010年10月18日)

敷引等の入居一時金トラブルを軽減

今回は、「スケルトン・インフィル(以下、SI)型賃貸マンション」のお話をさせていただきます。
SI住宅とは、建物のスケルトン(柱、はり、床等の構造体)とインフィル(内装、設備等)を分離した工法による住宅と定義付けできます。
簡単にいうと、体はそのままで外装内装を入れ替えできる住宅です。
体賃貸住宅オーナーが所有し、内装等のインフィルは賃借人が負担します。SI住宅は賃貸マンションでは普及していません。その理由としては、賃貸住宅オーナー・賃借人(ユーザー)の双方にとって負担が大きすぎることでした。
平成12年に神戸市でSI賃貸住宅建設計画があり、収支シミュレーション等をしたのですがユーザーのインフィル投資額が当時の中古マンションを購入する額ほどになり、とても普通の居住目的のユーザーでは手が出ない状況でした。また、オーナー側にとっても金融機関にスケルトンのみを担保の対象とすることの理解が得られず、融資に苦慮いたしました。
この時の経験から、ここまで徹底したSI賃貸住宅にそもそも、オーナーにとっても、ユーザーにとってもメリットがあるのかという疑問から、住戸としての設備(風呂、台所、洗面所)はついた広めのワンルームで、ユーザーが家具間仕切り等で自由にレイアウトできる賃貸住宅の方がよいのではないかと思い、「ソフトSI賃貸住宅」とひそかに名付けておりました。
平成11年、大阪府住宅供給公社が東大阪市で建設した「フレックスコート吉田」は、こうした私の思いを体現した賃貸住宅があります。
スケルトン部分においては、床下・天井裏も自由に配管、配線、ダクトを通し、かつ、天井高は2,400を確保。スケルトン部分の計画耐用年数を100年としています。
インフィルについては、固定インフィルと簡易可変インフィルに分けられた1LDKで供給。簡易可変インフィルは、可動収納家具や可変間仕切りパネル、可変建具システムをハウスメーカー・建材メーカーによる複数メーカーが開発供給しました。可動収納家具システムは、押し入れ、洋服ダンスとして利用できる他、部屋の間仕切りとして使えます。
「フレックスコート吉田」では、ユーザーが可変間仕切りパネル、可動収納家具を購入する方法と、リースする方法を用意していました。
当時、私は家具メーカーの友人に両面を使用できる間仕切り家具の大量生産はできないのか尋ねたところ、日本の住宅は、統一企画で造られていないのでサイズがバラバラであることから、量産はできず、どうしてもオーダーメードになることから、割高になるといわれました。

次回はメリット・デメリットと課題についてお話しします。

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全国賃貸住宅新聞(2010年9月20日)

趣味対応型マンション

今回は、「趣味対応型マンション」についてお話いたします。

1.男女別レジャー参加の内容

「レジャー白書2010」(公益財団法人 日本生産性本部 編集・発行)によると、2010年前半は、厳しい不況や新型インフルエンザによる打撃が重なったものの、高速道路料金値下げの恩恵を受けた「ドライブ」の、参加人口が第一位となりました。調査は、全国3,000人、15〜79歳の男女を対象に実施。「動物園、植物園、水族館、博物館」など手軽な行楽系種目も人気があり、ロードレーサーなどの自転車ブームで「サイクリング・サイクルスポーツ」が参加人口が増加しました。
男女別でレジャーの参加傾向についてみていきますと、「スポーツ部門」では、男性は女性より1年間に1回以上行った人の割合を示した参加率の高い種目が多く見られます。(例、「キャッチボール・野球」「ゴルフ(コース)」「ゴルフ(練習場)」「釣り」「ジョギング・マラソン」「サイクリング・サイクルスポーツ」等)
「趣味・創作部門」は、反対に女性の参加率が高い種目が多く、「音楽会・コンサート等」「観劇」などの鑑賞系レジャー種目は、断然女性がリードしています。
一方、男性の参加率が女性を上回っているのは、「模型づくり」「日曜大工」「スポーツ観戦(テレビは除く)」「写真・ビデオの制作」「パソコン」「学習・調べもの」等が挙げられます。
「観光・行楽部門」では、男女とも参加率が高いのが、「ドライブ」と「国内観光旅行」「動物園、植物園、水族館、博物館」でした。
ただし、「ドライブ」では、男性が女性をわずかに上回りますが、「国内観光旅行」「動物園等」については、女性の参加率の方が高いようです。

2.趣味対応型マンション

以上の男女別レジャー参加の高いものの傾向をみますと、「スポーツ」よりは「趣味・創作」の参加率が高く、「ビデオ鑑賞」「音楽鑑賞」「パソコン(ゲーム、趣味、通信など)」「日曜大工」「園芸・庭いじり」など、自宅で楽しめるものが人気です。特に「パソコン」は、男女とも70%台とと突出して多く、賃貸住宅に「インターネット対応」は必須であるといえるでしょう。「ビデオ鑑賞」「音楽鑑賞」を、賃貸住宅の入居者が隣人に気兼ねなく楽しむために遮音性に気を配ったマンションも「趣味対応型」といえます。また、「日曜大工」や「園芸・庭いじり」を楽しめるスペースを設けたマンションもいいですね。
さて、ここで「男のホビー対応型」という、コンセプトのマンションを提案させていただきます。
男性の代表的な趣味として、「バイク」「車」「サイクリング」が挙げられますが、都心部のマンションでは、駐車場は付置義務台数を設置しても駐輪場やバイク置き場について配慮されているものは極めて少ないのが現状です。
趣味がバイクや自転車のツーリングという需要は愛車のメンテナンス、保管に注意を払っており、駐輪、バイク置き場が配慮されていないマンションを敬遠する傾向にあります。事例として、北区に住んでいた30代の単身男性が愛用するバイクをいつも目の届くところに置きたくて、西淀川区の土間のある一軒家を15万円の家賃で借りるなど、自分の趣味を優先して住居を選択しています。また、中央区南船場の賃貸マンションでは各階フロアに駐輪場を設けた事例があり好評でした。
近年のマンションは単身女性好みに合わせた商品開発は多いのですが、男性シングルのニーズをくみあげたマンションは極めて少ないようです。付加価値を高めて差別化するために、市場においてはいまだ供給の少ない「需要が気兼ねなく趣味に没頭できる環境を提供するマンション」として、「男のホビー対応型マンション」は、潜在的需要があると思います。
こうしたマンションの間取り等の工夫としては、

1. 駐輪場・バイク置き場
洗浄できる設備を備え、傷がつかないよう、ゆとりをもったスペースを提供する。

2. 居住空間
自転車は室内にて整備できるようなスペースを設ける。
また、自転車を室内におけるよう壁かけ(フック)をつける。メンテナンススペースには、細かい作業ができるよう、照明用のコンセントは必要。

等が考えられます。

性別余暇活動参加率の推移

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全国賃貸住宅新聞(2010年8月16日)

「ペット可」などのコンセプト型に活路

賃貸住宅経営をこれから考える方、また現在、賃貸住宅経営をされている方も空室問題が一番気にかかるところだと思います。
これから人口は増加しないし、住宅は余るばかり、賃貸住宅経営などもう駄目だとお考えの方もおいででしょう。
しかし、それは違います。賃貸住宅のニーズはまだまだあります。
分譲マンションも売れ残る時代なのに何をとお思いでしょうが、新聞の折り込みで入っている、分譲マンションの広告をご覧ください。どれも良く似た間取り、設備、価格帯ではありませんか?
分譲マンションは、需要の最大公約数のところに焦点をおくため、間取り、専有面積、設備は、どのデベロッパーも平均化しています。
しかしながら、ライフスタイルが多様化している現在、住に対する要望も多様化しているのが現実です。
賃貸住宅を選択している需要の中には、分譲のワンパターン供給では満足できない層がいます。
賃貸住宅は自らの住まいのあり方を体現したいニッチな需要を掘り起こすことで十分、分譲マンション大量供給エリアにおいても競争できます。
そのためには、新婚向け「2LDK」とか、「間取り」を売るのではなく、「住空間」を売る発想と、その「住空間」にコンセプトを明確にする必要があります。
コンセプト型マンションの一例として、今回はペット同居対応型賃貸マンションを取り上げたいと思います。

1.ペット同居対応型賃貸マンション

「ペット同居対応型」は、少子高齢化社会で、かつ、少家族化(家族数が少ないこと、単身世帯も増加している)社会においては、需要は増加します。
よく、空室を埋めるために「ペット可」マンションにしている例をみかけますが、安易に「ペット可」にすれば、家賃、管理費をアップできると考えるのは早計。ペットを飼わない(もしくは動物が苦手)入居者がいる既存物件で、いきなりペット可とすると、入居者どうしのトラブルのもとになります。
また、飼い主の不在によく鳴く犬の声は結構な騒音となり得ます。
それと、建物の傷みは管理費を2,000〜3,000円アップしただけでは対応できない場合があります。犬、猫のおしっこが床下に漏れ、においがしみついてしまうと次の借手はありません。
また、人間の入る風呂でペットを洗うと毛詰まりをおこしてしまします。
このように「ペット可」では、かえって賃貸住宅の資産価値を落としかねません。
「ペット同居対応型」は、無論、こうした問題をクリアする構造が一番なのですが、「ペット対応型」マンションをいろいろ見学させていただきますと、リードフックや、室内の犬、猫用の小さなドアや、エレベーターホールのペットおしらせランプとか、ハードな部分ばかりを強調しておられるのですが、本当に大切なのは、運営のソフトだと思います。
集合住宅のペット3大トラブルは、(1) 無駄ぼえ、(2) におい、(3) 抜け毛ですが、このトラブル対応は飼育マナーの向上で防ぐことが可能です。
ブリーダーなどに入居されないよう、飼育できる犬種、大きさ、頭数を決めておくことも大事ですし、こうしたルールを館内規制として入居者にしっかり説明することも大事です。
入居者間でペットクラブを作って意思疎通を測ることも一案です。
この他、管理側として動物病院、ペットショップ、ペットシッター等の支援サービス体制を整えておくことは、入居者の方にとって最大のサービスとなります。
ペットのしつけやアニマルセラピー向けの教育については、NPO法人も活動しており、連携をとるものいいでしょう。
ハード面では、グルーミングルーム、ペットの洗い場などがつけられますが、特に犬を飼う場合に需要があるのは以下のものです。
(1) 床材、壁材の強化。傷つきにくく、水ぶきしやすく、掃除がしやすい素材を選んで下さい。床材は、クッション性が高く、滑りにくく、遮音性が高いもの。腰壁状で上下分けているのもいいですね。犬は、平行移動ですが、猫は上下運動をしますから、遮音性に気を配ることは大事です。(2) 飛び出し防止柵の設置、(3) 室内にペット専用の洗い場を設置、(4) 汚物専用水洗の設置なども必要になるでしょう。
最後に、管理側としては、対応にも留意して下さい。
・ 共用部分の床材、壁材の強化
・ 退居時の際の臭いの浄化
・ 退居時のペットの放置など。
次回では、「趣味対応型」マンションについて、ご紹介いたします。

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全国賃貸住宅新聞(2010年7月19日)

賃貸運営における統計の活用

1.はじめに

賃貸住宅を経営しているあるいは、これから賃貸経営をすることを考えている方にとって、付近の賃料相場が気になるところですが、周辺にどのような賃貸需要があるかを調べて、間取り、家賃を設定することが重要です。
「国勢調査」、「住宅・土地統計調査報告」の他、市町村で実施している各種統計調査を分析すると、状況が明らかになってきます。
そこで今回は、「平成20年住宅・土地統計調査報告」(総務省統計局)のデータから大阪市、神戸市、京都市の三都市の賃貸需要(借家人)を探ってみました。

2.借家の種類

まず各市の借家の種類を分析します。
例えば、「公営借家」(市営住宅等)や「都市再生機構(以下URと略する)・公社(住宅供給公社)の借家」の多い地域では、低家賃のファミリータイプの供給が多い。「公営借家」は収入による入居制限がありますが、「UR・公社の借家」は、制限がないので、競合しない間取りタイプを考える必要があります。
下<図1>〜<図3>は、大阪市、神戸市、京都市の借家種類別の借家世帯をグラフ化したものです(「不詳」を除く)。京都市では「公営借家」、「UR・公社の借家」が少なく、神戸市では「公営借家」、「UR・公社の借家」の占める割合が大きいことがわかります。
三都市とも「民営借家」のうち「非木造」の割合が高いのですが、京都市では木造の「民営借家」の割合が20%近くもあります。

3.民営借家の建築時期

民営借家が多く建築された時期を調べてみると「昭和56年〜平成2年」の間に集中しています。これは三都市とも共通で、地価バブル期に相続税対策、固定資産税対策として、賃貸住宅の建設が活発であったことがうかがえます。
ちなみに、「昭和56年〜平成2年」築の借家戸数が民営借家総数に占める割合は、大阪市約28%、京都市約25%、神戸市約24%で、神戸市は平成7年の阪神・淡路大震災の後の平成8年〜平成12年の建築の民営借家も多く、約22%を占めています。

4.借家に住む年齢層の割合

下表は、三都市の借家に住む主な世帯の年齢層の割合です。
学生の多い「京都市」では、「25歳未満」の占める割合は21.4%と大阪市の約3倍、神戸市の約2倍となっています。
「25歳以上34歳以下」でも京都市の割合は高い。
「35歳以上44歳以下」では、神戸市、京都市は16%台でほぼ同割合ですが、大阪市が17%台とやや高めとなっています。
「45歳以上」では、「大阪市」と「神戸市」は、よく似た割合ですが、京都市では常に「大阪市」、「神戸市」より割合が低い。
すなわち、三都市の中で京都市だけが「34歳未満」で借家世帯の4割を占め、若い借家人が多いということになります。

5.世帯別1ヶ月当たりの支払家賃

大阪市では、「30歳以上の単身」、「30歳以上64歳の単身」、「65歳以上の単身」が支払っている最も多い家賃帯は「4万円以上6万円未満」です。
ファミリーでは、「夫婦のみ」、「夫婦と3歳未満の子供」、「夫婦と3歳以上5歳の子供」、「夫婦と6歳以上9歳の子供」世帯が最も多い家賃帯は「6万円以上8万円未満」、「夫婦と10歳以上17歳の子供」世帯では「10万円以上15万円未満」となります。
神戸市では、「30才未満の単身」、「30歳以上64歳の単身」は、大阪市と同じく「4万円以上6万円未満」ですが、「65歳以上の単身」は「2万円以上4万円未満」になっています。
子供のいる世帯では、大阪市と全く同じ家賃帯です。
京都市では、「30才未満の単身」、「30歳以上64歳未満」は「4万円以上6万円未満」、「65歳以上」は、神戸市と同じく「2万円以上4万円未満」。
子供のいる世帯は、「6歳以上9歳の子供を持つ世帯」は、「8万円以上10万円未満」の家賃帯が多いが、それ以外は大阪市、神戸市と同じ「6万円以上8万円未満」が最も多くなっています。
三都市とも大きな違いはみられず、単身者は6万円まで、ファミリーは8万円までが最多の賃貸需要の家賃支払限度であることが読みとれます。
こうした世帯別賃料の分析は、空家の家賃の設定や、新規賃貸住宅計画の事業収支のシュミレーションに活用することができます。
まだまだいろんな角度から賃貸需要を分析できますのでぜひ、「統計」をご活用ください。

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月刊ネオス 2010年8月

はじめに

三大都市圏の主要都市について、2010年4月のインターネットポータルサイトに掲載されている新築物件のみを抽出。
2010年春の賃貸住宅市場の傾向と2009年からの賃料の推移を調査・分析しました。
契機の低迷や雇用不安を受け、三大都市圏とも厳しい状況が続いています。

部屋の面積別に見る各圏都市の特徴

■ 「40u未満」の新築物件

首都圏では、2009年に比べ平均面積が拡大している地域が増加。
20〜30u台の賃料は7万〜8万円台が大半ですが、人気の「自由が丘」「中目黒」は12万円台。しかし、部屋が広くなっているわりには、総額賃料は下落傾向。敷金・礼金等の一時金月数は、2009年の3〜4ヵ月台へと下落しています。
中部圏の「名古屋市」では、平均面積(27u前後)は前年とほぼ変わりませんが、総額賃料は3%の下落。一時金月数は1ヶ月の下落。
近畿圏の「大阪市」「神戸市」「京都市」では、いずれも平均面積が28u台で2008年から変化は見られません。総額賃料は「大阪市」1.4%、「神戸市」3.0%、「京都市」3.1%の下落。一時金月数は、「神戸市」は変化なしですが、「大阪市」0.2ヶ月、「京都市」は0.6ヶ月の下落。

■ 「40u以上50u未満」の新築物件

首都圏では「40u未満」の物件と同様、住戸面積は拡大したのに総額賃料は下落している地域が多くなっています。
一時金月数も同じく、1〜3ヶ月台と下落。
中部圏の「名古屋市」では、平均面積が2009年より約3u小さくなり、総額賃料は10%下落。一時金月数は、0.7ヶ月の下落となっています。
近畿圏の3都市では、平均面積は43u前後。3都市とも2008年から総額賃料は下落しており、「大阪市」9.6%、「神戸市」が4.8%、「京都市」が1.2%の下落。一時金月数は、「大阪市」が0.3ヶ月、「神戸市」0.8ヶ月、「京都市」0.6ヶ月の下落。

■ 「50u以上60u未満」の新築物件

首都圏では、超人気エリアの「自由が丘」で平均面積が約4u拡大し、総額賃料は34%上昇。その他のエリアでは賃料が下落し、「吉祥寺」で対前年比11%、「武蔵小杉」で25%の下落。一時金月数は2〜3ヶ月台に集中し。
中部圏の「名古屋市」では、50u以上の新築物件が少なく、2009年が守山区の1件のみ、2010年は昭和区・中村区の3件となっています。2010年の平均面積は54u台で、総額賃料は対前年比37%の上昇、一時金月数は1ヶ月の下落。
近畿圏の3都市の平均面積は55u前後。「大阪市」が7.2%、「神戸市」は8.1%、「京都市」は6.5%下落。一時金月数は「大阪市」が0.5ヶ月、「京都市」が0.3ヶ月上昇しましたが、「神戸市」は0.9ヶ月下落。

2010年三大都市圏賃貸住宅市場の共通点

首都圏・中部圏・近畿圏ともに、新規賃料は2009年に引き続き、2010年の新規賃料は、下落が続いています。各圏とも、平均面積の大きい物件ほど、賃料下落率が大きい傾向があります。
また、入居時の一時金は各圏とも平均して1ヶ月分前後、下落。他のエリアに比べ一時金月数が高いといわれていた近畿圏3都市においても、首都圏・中部圏とほぼ同じ月数で、全国的に一時金月数は平準化しつつあります。

<表1>首都圏 占有面積別総額賃料、平均面積、一時金月数のまとめ

※クリックで拡大します。

(株式会社 難波不動産鑑定 調査)

<表2>中部圏 名古屋市 占有面積別総額賃料、平均面積、一時金月数のまとめ

(株式会社 難波不動産鑑定 調査)

<表3>近畿圏 占有面積別総額賃料、平均面積、一時金月数のまとめ

(株式会社 難波不動産鑑定 調査)

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全国賃貸住宅新聞(2010年6月21日)

太陽光発電付き住宅の比較

1.30代から40代が購入層の中心

ソーラー住宅(戸建て)を販売しているハウスメーカー3社にヒアリングをした。
ソーラー住宅は、「太陽光発電設備単独」の場合と、「自家発電設備等併設」の場合に分けられる。
「自家発電設備等併設」とは、太陽光発電設備以外の自家発電設備、例えば燃料電池、ガスエンジン、蓄電池等で発電するものを指す。
A社は、ガス燃料電池を使用したソーラー住宅に取り組んでいる。ガス燃料電池の設備費用は300万円かかるが、国の補助、メーカーの値引き等で実質40万円ほどがユーザーの負担となる。戸建では、ガスで発電し、燃料電池で約6割の電力を確保し、残り4割を太陽光発電でまかなうイメージだ。
なお、余剰電力の電力会社の買い取り価格は、住宅用で10kw未満で、「太陽光発電設備単独」の場合48円/kwh(消費税込み、以下同様)。「自家発電設備併設」の場合は、39円/kwhとなる。上記のガス燃料電池では、ガス会社がその差額を負担している。
A社の購入ユーザーのプロフィールは「30〜40歳代」が多く、家族数は「3〜4人」、ソーラー住宅のメリットを、
(1) 電気代の節約
(2) 余剰電力を売電できる
(3) 環境にやさしい
と考えておる。ソーラー住宅購入の動機は、「売電が24円/kwhから48円/kwhに高くなったのが魅力」との回答である。
B社では、「ガス発電型」と「太陽光発電設備型」を販売している。B社の顧客も「30歳代」が多く、家族数は「3〜4人」で、購入動機は、A社と同じく、「売電が高くなったのが魅力」である。
C社では、2009年10月から2010年3月で西日本で販売した住戸の70%がソーラー住宅である。
C社では、国土交通省の「建築物省CO2推進モデル事業」の認定を受けて、太陽光発電+太陽熱連携ヒートポンプ給湯器+蓄電池を設置した住宅を販売している(ただし、蓄電池の納入は、10月頃になる予定)。C社でも、光熱費のランニングコストが安くなることに対して顧客の反応がよい。顧客は、「30歳代」が最も多く、家族数は「4人」で、購入動機は「ランニングコストが低い」「売電が高くなったのが魅力」「環境にやさしい」が掲げられた。

2.売電メリットは入居者に還元

太陽光発電システム搭載賃貸住宅については、共用部分のみ売電し、賃貸住宅オーナーにメリットを持たせるタイプと、入居者と電力会社が個別契約をし、入居者に売電メリットを持たせるタイプに大別される。
後者では、大阪府下で平成20年に、3棟24戸のうち1棟6戸を太陽光発電搭載にした賃貸住宅の事例がある。オール電化+太陽光発電で光熱費が月当り平均で11,000円程安くなる。周辺相場賃料より高い賃料設定だったが、満室となった。
だが、当初入居者の退居後、それまでの設定賃料では、入居者が見つからず、賃料を値下げしたことから、現在では近隣相場にオール電化で+3,000円、太陽光発電併設でさらに+3,000円の家賃設定をしているとのことである。
ここで、太陽光発電併設ですぐ賃料が高くとれると勘違いしてはいけない。あくまで上記の例は、入居者に余剰電力があれば電力会社に売電できるというメリットがある上での設定だ。オーナーだけにメリットがある場合は共益費をその分安くしないと入居のインセンティブに結びつかない。
また、太陽光発電搭載賃貸住宅は、立地と規模(戸数)を選ぶ。
賃貸住宅を建てる土地の方位が南向き、南東向きであるのがベストであるが、それ以外の方位であったり、周囲を高層の建物に囲まれていて計画建物の高さがそれより低ければ、期待できるほどの発電量には至らない。
戸数もある程度必要で、1棟4戸程度では4kwの太陽光発電は搭載できず、ファミリータイプ1棟6〜8戸以上の戸数がないとスケ-ルメリットがでない。
10kw未満では、電力会社の買い取り単価は、48円/kwhだが、10kw以上では買い取り単価が半額の24円/kwhになるので、設備投資の回収期間が延長することになる。買い取り単価についても現在の買い取り価格は、平成23年3月31日まで申し込みした物件にのみ10年間適用されるが、平成23年4月1日以降の買い取り価格は、改めて国が定めることになっている。
太陽光発電付賃貸住宅は立地と規模の検討が不可欠だ。だが、自治体の補助金は年々減少しつつあり、補助金設定がない所もある。安価に供給できるようメーカーの開発に期待したい。

<表>2010年度大阪府下における太陽光発電システム搭載の設置補助

(株式会社 難波不動産鑑定 調査)

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全国賃貸住宅新聞(2010年5月18日)

2010年賃貸住宅市場三大都市圏比較

前回に引き続き、占有面積・総額賃料・平均専有面積・一時金月数をまとめたものから比較結果を検討したいと思います。

3.「50u以上60u未満」

首都圏では、「柏」が2008年から連続下落の68,000円。
「吉祥寺」は152千円台であり、対前年より11%の下落。
超人気エリアの「自由が丘」は、面積が約4u拡大し、総額賃料で34%上昇の194千円。
「武蔵小杉」は、占有面積が約3u縮小し、総額賃料で25%減の153千円、1u当たり賃料で22%減であった。「武蔵小杉」も、2008年から賃料は下落している。
なお、一時金月数は2〜3ヶ月台に集中し、2009年より減少している。
中部圏の「名古屋市」では、2009年59u台の広さが、2010年は54u台に縮小したが、総額賃料は37%に上昇している。
これは、2009年が守山区の1件だったのに対し、2010年は昭和区、中村区の3件の平均であり、件数とエリアの差によるものだ。
一時金月数は1ヶ月の下落。
近畿圏の三都市の平均面積は55u前後である。家賃水準は「大阪市」(116千円)「京都市」(108千円)「神戸市」(102千円)の順である。
三都市とも賃料が下落しており、「大阪市」は対前年比7.2%減、「神戸市」は8.1%減、「京都市」6.5%下落した。
一時金月数は「大阪市」が0.5ヶ月、「京都市」が0.3ヶ月上昇したが、「神戸市」は0.9ヶ月下落した。

4.「60u以上70u未満」

首都圏では、対前年と比較できる駅はないので、賃料の増減は不明。
「吉祥寺」が230千円、「鎌倉」120千円、「自由が丘」166千円、「中目黒」258千円で平均面積はいずれも61〜65u台にある。
中部圏の「名古屋市」では、「60u以上」は、2009年では供給がないため比較できない。今回調査も名東区の1件のみであった。一時金月数も約1ヶ月程度下落している。
「名古屋市」の賃料下落の要因は、名古屋圏域の自動車産業を始めとする輸出型企業の業績悪化に大きく結びつく。
近畿圏の三都市の平均面積は64〜65u台である。
家賃水準は「大阪市」(131千円)が最も高く、「京都市」(128千円)「神戸市」(101千円)の順となる。賃料水準は、三都市とも下落しており、「大阪市」は対前年比6.4%減、「神戸市」が6.5%減であるが、「京都市」は、2008年から2ケタの下落で2010年の対前年比は17.9%減であった。
一時金月数は、「大阪市」が0.8ヶ月、「神戸市」が0.2ヶ月上昇したが、「京都市」は0.8ヶ月下落した。

5.「70u以上80u未満」

首都圏の「たまプラーザ」は70u台で160千円で前年より4.5%の賃料上昇。「武蔵小杉」は、△0.5%の微減の216千円。
占有面積は75u台で前年とほぼ同じ。
近畿圏の三都市の平均面積は、73〜74u台。家賃水準は「大阪市」(166千円)「京都市」(122千円)「神戸市」(121千円)の順だ。
三都市とも賃料は2008年から大幅に下落し、「大阪市」は対前年比4.0%減であるが、「神戸市」は26.2%減、「京都市」は23.3%減の大幅下落である。
一時金月数は、「大阪市」が0.2ヶ月、「神戸市」が0.4ヶ月下落したが、「京都市」は0.4ヶ月上昇した。

6.「80u以上100u未満」

首都圏では、「吉祥寺」は、前年から△17%減の278千円。1u当たりの賃料で比べると14%の下落である。
「中目黒」は、50%下落の209千円、1u当りの賃料では、46%減、「武蔵小杉」は15%減、1u当たりの賃料では、8%減であった。
2009年では、300〜400千円台の賃料もみられたが、2010年では、全て200千円台の賃料水準になっている。
近畿圏の三都市の平均面積は、87〜96u台。
家賃水準は、高い順に「大阪市」(223千円)「神戸市」(193千円)「京都市」(165千円)の順だが、「大阪市」「神戸市」は対前年比で賃料は上昇しているが、2009年の「大阪市」の事例は17件に対し、2010年は北区、平野区の合計2件と供給件数は激減している。
「神戸市」も同様で、2009年の6件から2件に減少した。
「京都市」も8件から2件に減少し、事例件数の差によるものと思われる。
なお、一時金月数は、「大阪市」が0.6ヶ月、「京都市」が0.3ヶ月下落したが、「神戸市」では、1事例が10ヶ月を超えたため、2事例の平均は8.5ヶ月と2009年の4.1ヶ月を大幅に上回った。

<表1> 首都圏 占有面積別総額賃料、平均面積、一時金月数のまとめ

(株式会社 難波不動産鑑定 調査)

<表2> 中部圏 名古屋市 占有面積別総額賃料、平均面積、一時金月数のまとめ

(株式会社 難波不動産鑑定 調査)

<表3> 近畿圏 占有面積別総額賃料、平均面積、一時金月数のまとめ

(株式会社 難波不動産鑑定 調査)

<図1> 近畿圏 大阪市 占有面積別 総額賃料比較

<図2> 近畿圏 神戸市 占有面積別 総額賃料比較

<図3> 近畿圏 京都市 占有面積別 総額賃料比較

(株式会社 難波不動産鑑定 調査)

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全国賃貸住宅新聞(2010年4月19日)

2010年賃貸住宅市場三大都市圏比較

首都圏の主要市、中部圏の名古屋市、近畿圏の大阪市、神戸市、京都市について、2010年4月のインターネットポータルサイトに掲載されている新築物件のみを抽出し、2009年からの賃料推移と2010年三都市圏の賃貸住宅市場の傾向についてまとめてみました。

2010年三大都市圏賃貸住宅市場の共通点は、以下の3点です。

Point1
首都圏、中部圏(名古屋市)、近畿圏(大阪市、神戸市、京都市)では、2009年に引き続き、2010年の新規賃料は、下落が続行。

Point2
各圏とも、一時金は賃料の1ヶ月分前後、下落している。
また、一時金月数が高いといわれていた近畿圏3都市であったが、首都圏、中部圏とほぼ同じ月数であり、全国的に一時金月数は平準化しつつある。

Point3
各圏とも、平均面積の大きいタイプほど、賃料下落率が大きい傾向がある。

各都市圏の占有面積別、総額賃料、平均占有面積、一時金月数を下表の如く、まとめ、2009年と比較した。その結果、以下のような特徴がみられました。

1.「40u未満」

40u未満は「1ルーム」「1K」「1DK」タイプの占有面積に該当する。
首都圏では、2009年に比べると、2010年は「柏」「西永福」「中目黒」が30u台で、その他の駅は、20u台であるが、平均面積が拡大している地域が増加している。
ただし、面積が広がっているのにもかかわらず、総額賃料が下落した地域が多く、平均総額賃料が上昇した「横浜市」「吉祥寺」「自由が丘」「武蔵小杉」でも、賃料単価は全て下落している。「武蔵小杉」の10%減以外は1〜2%台の下落である。
20〜30u台の賃料は7万〜8万円台が大半であるが、「自由が丘」「中目黒」は12万円台である。一時金月数は2009年の3〜4ヶ月台から1〜2ヶ月台に下落している。
中部圏の「名古屋市」では、「40u未満」は、平均面積は27u前後でほぼ変わりがないが、総額賃料は6万4000円から6万1000円へ3%下落している。1u当りの賃料では1.7%の下落。
一時金月数は1ヶ月の下落。
近畿圏の三都市では、平均面積は三都市とも28u台で、2008年から変化はない。
家賃水準は高い順に「大阪市」「神戸市」「京都市」の順であるが、すべて6万円台である。この順番も2008年から同じであるが、三都市とも、対前年比で賃料は下落している。(大阪市1.4%減、神戸市3.0%減、京都△3.1%減)
一時金月数は、「神戸市」は変化がないが、「大阪市」0.2ヶ月、「京都市」は0.6ヶ月の下落。


2.「40u以上50u未満」

首都圏では、「40u未満」と同様、2010年の占有面積は拡大したのに総額賃料は下落している地域が多い。
2009年に比し、平均面積にほぼ変わりがないのに賃料が下落したのは、「横浜市」(16%減)の11万7000円、「柏」(3%減)の6万3000円、「鎌倉」(13%減)の12万円である。
一時金月数は、2009年は2〜4ヶ月台であったが、2010年は1〜3ヶ月台と下落傾向にある。
中部圏の「名古屋市」では、「40u以上50u未満」では、平均面積42u台で2009年より約3u小さくなり、総額賃料は10%下落。1u当り賃料は3.7%減。
一時金月数は、0.7ヶ月の下落。
近畿圏の三都市では、平均面積は三都市とも43u前後であるが、家賃水準は高い順に「大阪市」「京都市」「神戸市」の順で、「大阪市」9万4000円、「京都市」8万5000円、「神戸市」8万円である。
三都市とも2008年から賃料は下落しており「大阪市」が最も大きく9.6%減、「神戸市」が4.8%減、「京都市」が1.2%減であった。
一時金月数は、「大阪市」が0.3ヶ月、「神戸市」0.8ヶ月、「京都市」0.6ヶ月の下落となった。


<表1> 首都圏 占有面積別総額賃料、平均面積、一時金月数のまとめ

※クリックで拡大します。

<図1> 首都圏 沿線別 総額賃料比較

(株式会社 難波不動産鑑定 作成)

<表2> 中部圏 名古屋市 占有面積別総額賃料、平均面積、一時金月数のまとめ

(株式会社 難波不動産鑑定 調査)

<図2> 中部圏 名古屋市 占有面積別 総額賃料比較

(株式会社 難波不動産鑑定 作成)

<表3> 近畿圏 占有面積別総額賃料、平均面積、一時金月数のまとめ

(株式会社 難波不動産鑑定 調査)

<図3> 近畿圏 大阪市 占有面積別 総額賃料比較

<図4> 近畿圏 神戸市 占有面積別 総額賃料比較

<図5> 近畿圏 京都市 占有面積別 総額賃料比較

(株式会社 難波不動産鑑定 作成)

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全国賃貸住宅新聞(2010年3月15日)

高齢者専用賃貸住宅の立地について

「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」が平成21年5月20日に一部改正され、高齢者円滑入居賃貸住宅の制度改善として、(1) 登録基準の設定と、(2) 指導監督の強化が、平成22年5月19日から施行(登録申請受け付けは平成21年11月19日施行)されます。
登録基準の対象となるのは、高齢者円滑入居賃貸住宅並びに高齢者専用賃貸住宅で、登録基準の主な内容は下表のとおりです。

(1) 規 模 各戸の床面積(原則) 各戸の床面積(例外)
25u以上
(共用部分除く)
居間、食堂、台所、その他の住宅の部分が、高齢者が共同して利用するため十分な面積を有する場合、18u以上
(2) 構造及び設備 原  則 例  外
台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室(以下「台所等」という)を備えたものであること 共用部分に適切な台所、収納設備、又は浴室を備えることにより、各戸に備える場合と同等以上の居住環境が確保される場合は、各戸が台所、収納設備、又は浴室を備えたものであることを要しない
(3) 賃貸の条件 (イ) 前払家賃、サービス対価前払金、又は一時金(敷金)を受領する場合、算定の基礎は書面で明示し、返還義務を負うこととなる場合に備えて保全措置を講ずること
(ロ)サービスを提供する契約は、賃貸住宅に係る賃貸借契約とは別に、サービスの内容及びその対価として受領する金銭の概算額を書面で明示した契約を締結すること

規定の要件を満たして、再度登録手続きを行わない限り、高齢者円滑入居賃貸住宅登録はすべて抹消されます。
なお、高齢者円滑入居賃貸住宅とは、高齢者の入居を拒まない賃貸住宅をいい、賃貸住宅の貸主が、都道府県知事、または各都道府県の指定登録機関に賃貸住宅を登録します。
高齢者専用賃貸住宅は、高齢者円滑入居賃貸住宅の内、専ら高齢者に賃貸する住宅で、上記の登録手続きは無論、高齢者専用賃貸住宅も必要となります。
さて、高齢者円滑入居賃貸住宅は、平成21年3月末現在で153,745戸、(平成13年8月より)高齢者専用賃貸住宅は29,766戸(平成17年12月より)の登録実績がありますが、財団法人高齢者住宅財団のホームページによりますと、高齢者円滑入居賃貸住宅の平成22年3月1日現在の総登録戸数は180,308戸、高齢者専用賃貸住宅は42,256戸あり、ほぼ1年弱で前者で17%増、後者は42%増と急激に件数が増えています。
高齢化社会を迎え、ニーズが高まっている表れと言えるでしょう。
しかし、その立地についてはどうでしょう。
最近、一般向け賃貸住宅立地としては、駅から遠いけれど高齢者専用賃貸住宅であればこうした立地でも問題ないといった話をよく耳にします。
しかし、弊社が需要者に対し、ヒアリング調査したところ、やはり一般の賃貸住宅と同様、立地、特に駅、買い物施設への接近性に優れている立地を第一位の条件とされます。
弊社独自調査による大阪市在住の高齢者の住まい観は、下記のとおりであり、高齢者の方は地域に密着し、地域コミュニティに参加できる住まいを望んでおられ、高齢者専用住宅にもハードもさることながらソフトの充実が求められます。

高齢者の住まい観
● 親と子が住める街づくり。
● 小グループで気軽に文化活動やコミュニケーションが図れる場所が欲しい。
● 人付き合いが多く、心にぎやかに暮らせるにこしたことはない。
● 高齢者と若者が一緒に楽しく生活できる。
● 一人暮らしの高齢者とコミュニケーションがとれる住宅。
● 一人で動ける間は最後まで一人で暮らす。地域の中でこそ生きていける。老人ホームにも病院にも行きたくない。
● 高齢者と子供達が一緒に遊べるような施設がほしい。
● 高価で入れない老人ホームより安くて安心できる場所に老人ホーム的なものをつくってほしい。
● 便利なところで相談にのってくれる人が近くにいる高齢者のための住宅に住みたい。
● 元気で活動的な老人のための住宅がない。
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月刊不動産流通(2010年4月発行)

2010年の近畿圏の賃貸住宅市場の予測

〜後半には賃料下げ止まりの可能性も。取引慣行の変化にも注意が必要〜

一、2009年は「生活防衛型転居」による空室率上昇

2008年秋のリーマンショックによる金融市場の低迷は実体経済にまで及び、日本では2008年末から企業の大規模な雇用調整が始まった。
その結果、自動車産業の集積する中部圏、北九州圏域内の主として単身者向けの空室率が急上昇し、近畿圏においても積極的に工場誘致を行っていた工場団地周辺での賃貸住宅の空室率の上昇が観測された。
特に、空室率の上昇が顕著なのは、JREITやファンドによる単身者向け賃貸マンションが大量供給された大阪、神戸の都心部である。
同エリアで、20歳台の若年単身者と、30歳台女性単身者の需要が増加していたが、景気後退により企業の家賃補助の廃止や減額、ボーナスカットなどにより収入そのものが減額したため、需要が都心部から流出したのだ。
また、ファミリー需要の動きも顕著となった。この層は子供の教育環境等の関係から単身者と比べると動きが鈍いのが特徴であるが、2009年1〜3月のシーズンは、家賃7〜8万円台のファミリー向けタイプの退居が相次ぐ一方、市営住宅等の低家賃の公的賃貸住宅の入居率が上昇した。
このように2009年は実収入の低下から転居を余儀なくされる「生活防衛型転居」による空室率の上昇が見られた。

二、2010年の近畿圏賃貸住宅市場の予測

【POINT1】単身向けタイプは減少、ファミリー向けは需要増
下<図1>は、2000年から2010年までの大阪市と近畿圏主要市(大阪市を除く大阪府、神戸市、明石市、阪神間6市、京都市、奈良市、大津市、和歌山市)の新築賃貸マンションの供給割合をタイプ別に表わしたものである。
これによると「1R」や「1K−1LDK」といった単身者向け供給が年々増加しており、2008年には、大阪市全体の87.7%、近畿圏(大阪市除く)では、全体の78.4%が単身者向けであった。
しかし、2009年には、大阪市82.0%、近畿圏75.2%に、2010年では、大阪市77.8%、近畿圏70.3%まで減少した。その反面、大阪市、近畿圏ともに「2K−2LDK」が増加している。この理由としては、単身者向けタイプが供給過剰になっていることが挙げられる。カップル向けの「2K−2LDK」は、分譲マンションと競合するため、また長い間新規供給が控えられてきたが、不況に伴う所得減少、あるいはマイホームを手離すといった事情により、ファミリー向け賃貸の需要が増加したことも一因といえる。
さらに、最近の家族数の減少を受け、「3K−3LDK」より「2K−2LDK」を選択するケースが増加していること、ルームシェアリングや兄弟姉妹などで単身者同士が住まうケースの増加なども背景にある。

<図1> 大阪市と大阪市以外の近畿圏(2008年より近畿圏に大津市と和歌山市を含む)

【POINT2】単身者・ファミリーともに賃料下落。後半には回復も
次に2008年から2010年(1月時点)の近畿圏全体(大阪市も含む)のタイプ別の総額賃料、専有面積、賃料単価、一時金月数の動向を分析した。

(1) 「1R」タイプ
供給件数は、減少傾向にある。総額賃料は、67千円台で、対前年比△1.3%。占有面積は、29.64uで2009年より0.54u広くなった。賃料単価では、対前年比△3.7%、一時金月数も0.2ヶ月分減少して3.0ヶ月となった。

(2) 「1K−1LDK」タイプ
供給件数は、減少傾向にある。総額賃料は、対前年比△1.4%。専有面積は、35.26uで前年より1.03u拡大した。賃料単価は、△4.2%。一時金月数も0.2ヶ月減少し、3.0ヶ月となった。

(3) 「2K−2LDK」タイプ
2010年の供給件数は、2009年の268件から362件と対前年比35%増となった。総額賃料は、△11.4%の大幅下落。専有面積は、61.35uで前年より1.3u縮小した。賃料単価は、△6.2%、一時金月数は、3.6ヶ月と0.2ヶ月前年より上昇している。

(4) 「3K−3LDK」タイプ
2010年の供給件数は、2009年の113件から120件と7件増加。総額賃料は、対前年比△8.7%。専有面積は、81.40uで前年より1.63u縮小した。賃料単価は、△7.5%で、一時金月数は、4.2ヶ月と0.6ヶ月前年より上昇した。

ここからも「1R」や「1K−1LDK」といった単身者向けの供給件数が減少し、総額賃料、賃料単価、一時金月数共に下落していることがわかる。
それに対し、「2K−2LDK」「3K−3LDK」といったファミリー向けでは、供給件数は増加したが、総額賃料、賃料単価、専有面積は減少し、一時金月数のみ増加した。
供給件数増加の要因は供給タイプに変化があったためだが、勤労者世帯の所得減少は、賃料単価のみならず、専有面積を小振りにし、総額賃料を抑える結果となった。
一時金月数について見ると、「2K−2LDK」は対前年比で上昇したものの、総額では昨年を下回る結果となった。一方「3K−3LDK」は総額で2008年を上回ったが、賃料大幅減を担保にするために一時金が上昇したことによるものと推測される。

<表1> 1ルーム

<表2> 1K−1LDK

<表3> 2K−2LDK

<表4> 3K−3LDK

三、近畿圏賃貸住宅市場での一時金等の取引慣行の変化

ここ5年で近畿圏を中心とした一時金の是非を問う裁判が続出し、賃貸業界の注目を集めている。
賃貸借契約時に支払われる一時金としては、大阪府、兵庫県が保証金もしくは敷金として徴収し、賃貸借終了時に敷引き、もしくは“引き”と称する金額を控除した額を返還する慣行が昭和40年代から始まったといわれる。また、京都府、滋賀県では敷金・礼金を徴収し、賃貸借契約継続時に更新料を徴収することが多く、「敷金」、「礼金」、「更新料」が慣行として定着し出したのは昭和50年代以降のようである。
しかしながら、こうした取引慣行も近年、その慣行をくつがえす判例が次々と出ている。
例えば、自然損耗および通常使用による損耗について、借主が原状回復義務を負担する内容の特約を含んだ賃貸借契約について、契約終了後に貸主が原状回復費用として要したと、敷金返還を拒み、借主が提訴した案件では、京都地裁は同特約を消費者契約法10条2項(消費者の利益を一方的に害する条項は無効)違反として、貸主に敷金返還を求めた(その後、大阪高裁にて貸主の控訴は棄却)。
また、契約更新の際の更新料について、借主がすでに支払済みの更新料の返還を求めた提訴では、京都地裁において棄却されたものの、その後の大阪高裁では「目的や性質が明確でなく、賃料の補充などの合理的な根拠を見出すことは困難」とし、消費者契約法第10条を根拠に更新料の徴収を無効にした。

以上の判決例からみるように、一時金の一部について、次々と取引慣行が否定されており、賃貸経営に当たって、一時金を収入の見込として計上できなくなることも考えられる。
こうした状況を踏まえると、賃料や共益費のなかで原状回復費用を捻出する経営姿勢が必要となる可能性があるといえる。



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全国賃貸住宅新聞(2010年2月15日発行)

2010年関西賃貸住宅市場の予測

2009年の賃貸住宅市場を総括すると単身者向け、ファミリー向けを問わず、空室率が上昇し、賃料、一時金は下落した
単身者向けは、Jリート、ファンドによる賃貸マンションが大量供給された大阪、神戸の都心部での空室率の上昇が顕著である。
工場団地周辺では、大規模な企業の雇用調整であり、都心部では企業の家賃補助の廃止・減額、あるいはボーナスカットや給料そのものの減額により、需要の家賃負担力がなくなったため、高い家賃帯から流出した。
また、2009年では、ファミリー需要の動きも早かった。単身者に比較すると、子供の教育環境もあり鈍いのが例年であるが、2009年1〜3月のシーズンは、家賃7〜8万円台のファミリー層の退居が相次ぎ、その半面、市営住宅等の低家賃の公的賃貸住宅の入居率は上昇した。
2009年はシングルもファミリーも実収入の低下から転居を余儀なくされる「生活防衛型」転居で空室率が上昇した。
それでは2010年賃貸住宅市場はどうなるか。
まず、2010年の市場で大きな変動要因は新築供給タイプが変化していることである。
下<図1>は、2000年から2010年までの大阪市と近畿圏主要市(大阪市を除く大阪府、神戸市、明石市、阪神間6市、京都市、奈良市、大津市、和歌山市)の新築賃貸マンションの供給割合をタイプ別に表わしたものである。
「1ルーム」「1K−1LDK」の単身者向け供給が年々増加し、2008年では、大阪市全体の87.7%、近畿圏(大阪市を除く)では、全体の78.4%が単身者向けであった。
しかし、2009年には大阪市82.0%、近畿圏75.2%に、2010年では大阪市77.8%、近畿圏70.3%まで単身者向けタイプの割合が減少した。反対に、大阪市、近畿圏ともに「2K−2LDK」のタイプが増加している。

この理由として3点を挙げることができる。
(1) 単身者向けタイプが供給過剰になっていること。
(2) 長年、カップル向けの2居室タイプの新規供給は、分譲マンションとの競合を避け、供給控えが続行していたが、不況に伴う所得減少、あるいはマイホームを手放すといった事情により需要が増加したこと等が掲げられる。
(3) ファミリー向けタイプは最近の家族数の減少を受け、3部屋より2部屋を選択する需要が増加していること、並びにルームシェアリング、兄弟姉妹などで単身者同士が住まう需要の増加も背景にある。

<図1>  ((株)難波不動産鑑定 調査・作成)

<表1>〜<表4>、<図1>〜<図4>は、近畿圏全体(大阪市も含む)間取り別の総額賃料、占有面積、賃料単価、一時金月数をまとめたものである。

【1】 「ワンルーム」
供給件数は、減少傾向にある。総額賃料は、67千円台で、対前年比△1.3%の下落。占有面積は、29.64uで2009年より0.54u広くなった。賃料単価では、対前年比△3.7%の下落、一時金月数も0.2ヶ月分減少して3.0ヶ月である。

【2】 「1K−1LDK」
供給件数は、減少傾向にある。総額賃料は、対前年比△1.4%の下落。占有面積は35.26uで、前年より1.03u拡大した。賃料単価は、△4.2%の下落。一時金月数も0.2ヶ月減少し、3.0ヶ月となった。

【3】 「2K−2LDK」
2010年の供給件数は、2009年の268件から362件と対前年比35%増となった。総額賃料は、△11.4%の大幅下落。占有面積は、61.35uで前年より1.3u縮小した。賃料単価は、△6.2%の下落で、一時金月数は、3.6ヶ月と0.2ヶ月前年より上昇している。

【4】 「3K−3LDK」
2010年の供給件数は、2009年の113件から120件と7件増加。総額賃料は、対前年比△8.7%の下落。占有面積は、81.40uで前年より1.63u縮小した。賃料単価は、△7.5%の下落で、一時金月数は、4.2ヶ月と0.6ヶ月前年より上昇した。

【5】 まとめ
以上から、単身者向け(「ワンルーム」、「1K−1LDK」)の供給件数は減少し、総額賃料、賃料単価、一時金月数共に下落した。 ファミリー向け(「2K−2LDK」「3K−3LDK」)は、供給件数は増加したが、総額賃料、賃料単価、占有面積は減少し、一時金月数は増加した。 「2K−2LDK」のような2部屋を備えている物件の一時金月数は、対前年で増加してるものの、一時金額では、下落は続行している。「3K−3LDK」のような3部屋を備えている物件のみ一時金月数も一時金額も前年を若干上回った。

<表1> 1ルーム 

<図1> 総額賃料と占有面積

<表2> 1K−1LDK

<図2> 総額賃料と占有面積

<表3> 2K−2LDK

<図3> 総額賃料と占有面積

<表4> 3K−3LDK

<図4> 総額賃料と占有面積

以上から、2010年の新築賃貸市場は、「生活防衛」のために単身者どおしが「共住み」し、ファミリーは子供数の減少から3部屋タイプから2部屋タイプに「ダウンサウジング」し、「総額賃料も下落」が続行すると予測する。
なお、人口が継続的に流入するエリアでは、2010年の年初めの賃料大幅下落に好感し、需要移動量が増加することも予測され、こうした地域は2010年末には、賃料下落にストップがかかってくると思われる。
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全国賃貸住宅新聞(2009年12月28日(合併号))

単身者向け賃貸住宅の広さはどう変わったか

ここ10年で1ルーム、1居室タイプ(1K、1DK、1LDK)の占有面積は、格段に広くなっているが、この理由としては、以下の点が掲げられる。

1) 風呂、トイレ、洗面の一ユニットタイプが消費者に嫌われ、セパレートタイプになってきた。また、風呂サイズも1216等、ゆとりのある設計になっている。
2) 居室部分も6帖から8帖以上へと広くなっている。バブル期では、部屋は寝るだけの場であったが、平成シングルは、住まいをできるだけ居心地のいい空間にするため、居室の広さにもこだわりをもつためである。

そこで、2000年から2009年の10年間で、1ルームと1居室タイプの広さがどう変化したか、また大阪市、神戸市、京都市の三都市で広さに違いがあるにかどうか調査した。なお、各市ともその年の1月に供給された新築住宅を収集し、平均をとっている。

◆「1ルーム」タイプ
2000年の1ルームの広さは、大阪市が22.58u、神戸市23.10u、京都市21.92uで、近似した広さとなっている。
大阪市はその後、広狭をくり返していたが、2007年以降、2009年までは28u台で推移している。
神戸市は、2008年まで28u台で推移していたが、2009年では28uを割り込み、27.59uとなった。
京都市は、2009年で29u台に拡大した。
三都市とも、広さは違えども、2006年を機に占有面積が拡大し、27〜29uで推移している。2000年と2009年を比較すると、大阪市は25%、神戸市は19%、京都市は34%、面積は広くなっている。(<図1>参照)

<図1>  ((株)難波不動産鑑定 調査・作成)

◆「1K−1LDK」タイプ
大阪市では、年々拡大傾向にあり、2008年は34u台にまで拡大したが、2009年は33u台とやや小ぶり化した。
神戸市は、2003年までは24〜27u台の内を大きくなったり小さくなったりしていたが、2009年では35u台まで拡大した。
京都市は、拡大、縮小をくり返していたが、2007年以降は30u台、31u台、32u台と毎年、拡大傾向にある。
2000年と2009年を比較すると、大阪市、神戸市は34%、京都市は21%、面積は広くなった。(<図2>参照)

<図2>  ((株)難波不動産鑑定 調査・作成)

◆ まとめ
ここ10年で、1ルーム、1居室タイプは20〜34%も面積が拡大している。2009年は不況の影響を受け、総額賃料をおさえるため小ぶり化した賃貸住宅の供給が増え始めている。しかし、賃貸住宅は30年〜40年間にわたって経営するものである。単身世帯の年齢層が高くなりつつあり、広目指向は今後も変わらないと推測される。安易に面積を小ぶり化することは、危険である。
以上

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全国賃貸住宅新聞(2009年11月16日)

賃料アップにつながるリフォームとは!!

1.リフォームの定義
最近、新聞やテレビで賃貸マンションの「リフォーム」とか「リノベーション」とかご覧になりませんか。
「改良すること。特につくり直すこと。」(広辞苑)を意味します。
もともとは、服飾関係で古くなった服に手を加えて新しい形に仕立て直すことを意味していましたが、エクステリア関係の増改築の意味や、間取の変更、部屋の模様替もリフォームというようになりました。


2.リフォームの類型化
リフォームを類型化すると、以下の3つのタイプになります。

1. 機能回復型 ・・・ 設備の劣化や破損、故障したところを修繕、修理するもの。
2. 機能向上型 ・・・ 台所、便所、浴室の設備の機能性をアップするもの。
例えば、和式便所をウォシュレット付洋式便座に取り換えるとか。
3. リノベーション型 ・・・ 間取の変更(例えば2DKを1LDKに)、壁、床、天井の断熱性・遮断性をアップしたり、仕上げをグレードアップするもの。

3.賃貸住宅におけるリフォームの必要性
前述の「機能回復型リフォーム」については、どの賃貸住宅オーナー様もされておられると思います。
しかしながら、機能回復だけでは賃貸住宅の商品価値は取り戻せないのが現状です。
その理由としては、

1. 「住」に対してこだわりをもつ賃貸需要が増加し、妥協しないこと。
2. 住宅設備の新商品の開発により、従来の設備の陳腐化の速度が早いこと。

があげられます。
そして建物の老朽化、間取り、設備の陳腐化により空室率が上昇していくのです。
従って、空室率の上昇をくいとめ、長く入居者の方々にお住まいいただくためには、リフォームが必要になってくるのです。

4.リフォームのポイント
「リフォーム」したのに空室率がうまらない、家賃が上げられない、というオーナー様の声を良く聞きます。
リフォームの内容をお尋ねしますと、

1. 流し台や給湯器が古くなったので、新品に変えた。
2. クローゼットが人気と聞いたので、ふすまの押入れを中身はそのままでふすまだけクローゼット風の扉に変えた。
3. 建物外観は塗装塗り替えしたが、中身は古いアパートのまま。

等の回答を得ました。
1. では、機能回復しただけなので、それだけでは他の賃貸住宅との競争力は低いままです。
2. は、クローゼットの機能を外観だけと取違われたケースです。
3. も外観は塗装を塗り替えしてきれいになりましたが、これも機能を回復しただけなのです。
家賃や入居率をあげるためには、「機能向上型」リフォームと「リノベーション型」リフォームを検討する必要があります。

次回はより実践的なチェックポイントについてお話したいと思います。

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全国賃貸住宅新聞(2009年10月19日)

近畿圏不動産市場の動向(第2回)

<大阪市>
2009年の大阪市の「1ルーム」「1K−1LDK」の賃料は対前年比△6.3%の下落、「2K−2LDK」は△25.7%、「3K−3LDK」は△32.9%の大幅下落となりました。
2居室以上の賃料下落が著しいのは、都心部に集中していた主としてファンドによる高額賃貸物件の供給が減少したためです。
2009年の「1ルーム」の平均占有面積は29.04uで総額賃料69,600円、「1K−1LDK」の平均占有面積34.81uで総額賃料は83,900円、「2K−2LDK」の平均占有面積60.77uで総額賃料123,000円、「3K−3LDK」の平均占有面積73.95uで総額賃料166,200円です。


<北大阪>
2009年の「1ルーム」の賃料は対前年比+0.3%、「1K−1LDK」は同+6.1%で上昇、「2K−2LDK」は同△2.2%、「3K−3LDK」は同△1.1%の下落となりました。
「1ルーム」「1K−1LDK」の支払賃料の上昇は、豊中市の供給が減少し吹田市の「江坂」駅前における供給が増加したこと、「江坂」駅前の内でも2009年は徒歩5分圏内での供給が増加したこと、更に吹田市の占有面積が2008年より小振りになっていることが平均賃料を上昇せしめたものと思料されます。
「1ルーム」の平均占有面積は30.79uで総額賃料74,900円、「1K−1LDK」の平均占有面積33.29uで総額賃料81,900円、「2K−2LDK」の平均占有面積72.09uで総額賃料136,300円、「3K−3LDK」の平均占有面積83.14uで総額賃料166,000円です。


<阪神>
2009年の「1ルーム」の賃料は対前年比+0.4%、「1K−1LDK」は同+0.2%でほぼ横ばいです。
「2K−2LDK」は同△2.3%、「3K−3LDK」は同△7.8%の下落でした。
「1ルーム」の平均占有面積は27.06uで総額賃料63,200円、「1K−1LDK」の平均占有面積32.65uで総額賃料68,900円、「2K−2LDK」の平均占有面積64.18uで総額賃料110,100円、「3K−3LDK」の平均占有面積82.71uで総額賃料128,300円です。

<南大阪>
南大阪全体では、支払賃料は対前年で各タイプとも微増していますが、これは堺市の平均賃料が上昇したことに帰因します。
堺市では「1ルーム」賃料はほぼ横ばいであるが、平均占有面積は約1.2u小振りとなった31u台で、総額賃料は2008年の58,800円から57,000円に下落しています。
しかし、「1K−1LDK」は平均占有面積36u台で変わらず、賃料単価が上昇し、総額賃料は2008年の62,800円から67,000円に上昇しました。
これは、堺市で大規模製造業が進出したことから「1K−1LDK」の供給が増加し、賃料も強気に設定されたものと推測されます。
「2K−2LDK」賃料は賃料単価は上昇したものの、占有面積は2009年は54u台と6uも小振りになったため、総額賃料は2008年の83,500円から83,400円と微減です。
「3K−3LDK」も賃料単価は上昇しましたが、占有面積が約3.3u小振りとなった75u台で、総額賃料は110,000円から106,700円に下落しています。

<表2>  全エリアの平均(支払賃料の単価 円/u)
全エリアの平均(支払賃料の単価 円/u)

<図3>  全エリア平均 タイプ別の賃料の推移
全エリア平均 タイプ別の賃料の推移

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全国賃貸住宅新聞(2009年9月21日)

近畿圏不動産市場の動向(第1回)

これから12回にわたり近畿圏の地価、賃料、市場の動きについてご紹介させていただきます。
第1回目は、弊社が過去25年にわたって定点観測しております毎年7月第1週時点での住宅賃料の調査結果をご紹介いたします。
調査地域は大阪市、南大阪(堺市、松原市、泉佐野市、貝塚市、岸和田市)、北大阪(豊中市、池田市、吹田市、箕面市)、阪神(伊丹市、川西市、尼崎市、西宮市)で、新築、築後1年のマンションの賃貸物件をインターネットから収集し、間取別に分析しました。


「1K−1LDK」の供給増加
新規供給件数は、2007年をピークに減少傾向にあり、2009年は479件でした。1998年以降、供給の主流はファミリータイプから「1K−1LDK」の単身者向けに変化し、「1K−1LDK」は2004年以降、新規供給件数の約60%台を占めています。(<図1>参照)
エリア別でも「1K−1LDK」の供給が最も多く、「2K−2LDK」が続くが供給量は「1K−1LDK」の1/4です。(<図2>参照)

大阪市、北大阪、南大阪、阪神間の各年7月第1週発行「住宅情報」記載の新築マンションの件数
大阪市、北大阪、南大阪、阪神間の各年7月第1週発行「住宅情報」記載の新築マンションの件数

<図1> 供給戸数の変動(全エリア平均)
図表1 供給戸数の変動(全エリア平均)

<図2> 2008年 4地域別 供給戸数の変動
図表2 2008年 4地域別供給戸数の変動


全タイプで賃料単価は下落
全体の傾向としては、全タイプで賃料単価は下落しました。
「1ルーム」「1K−1LDK」は2008年では微増の動きでしたが、2009年では「1ルーム」で△3.2%、「1K−1LDK」で△3.6%と△3%台の下落でした。
「2K−2LDK」は2008年で+5.2%の上昇がみられましたが、2009年は△10.8%の大幅下落となりました。
「3K−3LDK」は2008年の△3.4%から更に下落率が拡大し、△8.7%でした。

一時金は下落が継続
2009年の一時金月数は、シングルタイプもファミリータイプも一時金月数は3ヶ月台でした。
1988年との比較では、特にファミリータイプの「2K−2LDK」「3K−3LDK」の下落が著しいです。(<表1>参照)

<表1> 一時金月数と(敷)引月数  (1988年、2008年と2009年の比較)
<表1> 一時金月数と(敷)引月数  (1988年、2008年と2009年の比較)

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月刊ネオス 2009年7月発行

2009年賃貸住宅市場の動向

上昇気運にあった新築賃料ですが、景気後退とともに一転して下落地点が続出しています。しかし、エリアによっては賃貸需要が増加し、稼働率が上昇している地域も見られます。今後の賃貸経営計画では、よりきめ細やかなエリアマーケティングが勝負を分けるポイントとなるでしょう。

三大都市圏における新築賃貸市場調査のまとめ
2009年4月にインターネットで入居募集された三大都市圏の新築賃貸住宅について、占有面積別の「総額賃料」「平均面積」「一時金月数」を調査したところ、以下の点が指摘されます。

●首都圏では、「ワンルーム」「1K」「1DK」タイプに30u台が増え、1戸あたりの平均面積が広くなっている。面積の拡大に伴い40u未満の物件は総額賃料が上昇した地域が多いが、平均面積に変化のない「横浜市」や「吉祥寺」では賃料が下落している。「横浜市」は50u未満での賃料下落が目立つが、60u以上では上昇。反対に「柏」は40u未満で賃料が上昇し、40u以上で下落するなど、地域によって賃料動向の差が著しい。
●「名古屋市」では、平均面積が広くなるにつれ、賃料の下落率が拡大。自動車産業を始めとする輸出型企業の業績悪化が、賃貸市場に大きな影響を与えている。また、2008年調査では60u以上の新規供給が見られたが、2009年調査では供給が見られなかった。
●関西の「大阪市」「神戸市」「京都市」の三都市では、40u未満では賃料水準に大きな変化はないが、40u以上になると三都市とも賃料が下落。
平均面積が広くなるにつれ賃料の下落率が拡大していくのは、名古屋市と同じ傾向にある。

2009年の賃貸住宅市場の傾向と対策
2008年後半からの急激な景気後退に伴い、勤労者の家賃負担力は低下し始めています。これを受け、2009年は高い家貸から低い家貸へ、また持家マンションから賃貸住宅等への住み替えが顕著になると考えられます。
都心部でのシングルタイプの高家賃は、企業の人材確保のための社宅需要や家賃補助が支えていましたが、景気後退に伴う雇用の見直し、経費の見直しにより、借上社宅の廃止・家賃補助額の減額等が増加し、需要が減退することから、都心部の賃料のみならず全般的な地域・タイプで賃料の下落、空室率の上昇が予測されます。
ただし、不動産価格の下落も続行しているので、資産価値の下落を嫌い「所有」よ「賃貸」を選ぶ層が増えることが予測され、賃貸住宅オーナーさまは必ずしも悲観的に見る必要はないと考えます。新規賃料の下落は、需要の支払能力に応じた賃料に近づいているということであり、賃料が下落した結果、賃貸需要が増加して稼働率が上昇している地域も見られます。市場全体の供給が減少し、建築費が下落している時期だけに、「きめ細かい立地マーケティング」と「保守的な事業収支計画」を守れば、賃貸経営計画は立てやすいと言えるでしょう。 一例を挙げると、京都市では同志社大学・同志社女子大学の学部移転により、2013年までに9,100戸の学生向け賃貸住宅の新規需要が見込まれています。このように、ひと口に賃貸市場と言っても、エリアによって事情はまったく異なります。これから賃貸経営を検討される方は、エリアマーケティングの重要性をぜひ認識していただきたいと思います。

<図1> 首都圏人気最寄駅の家賃水準
図表1 大阪市と近畿圏主要市

<図2> 名古屋市・近畿三大都市の家賃水準
図表1 大阪市と近畿圏主要市
※家賃データ出典:2009年4月現在のインターネット上での新築募集賃料を収集し、分析した。





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全国賃貸住宅新聞 2009年5月11日・18日発行

2009年の関西賃貸住宅市場の動向と需要予測

一、関西における供給タイプの分析

下<図1>は、2000年から2009年までの大阪市と関西主要市(大阪市を除く大阪府の全市、神戸市、明石市、阪神間6市、京都市、奈良市、大津市、和歌山市)の新築賃貸マンションの供給割合をタイプ別に表わしたものである。

(1)大阪市
2000年の大阪市で最も供給量の多いタイプは「1K−1LDK」で、全体の約65%を占める。
次に「2K−2LDK」(約24%)、「3K−3LDK」(約6%)、「ワンルーム」(約5%)の順であった。
2000年以降は「1K−1LDK」タイプの供給量が増加傾向にあり、2009年では70%台を占める。
また、ワンルームも11%台に増加し、シングル向けの供給が82%台になっている。
反対に2居室、3居室のファミリータイプは、2000年の30%台から2009年の18%台と1/2近くまで減少している。

(2)関西主要市(大阪市除く)
2000年の関西は「1K−1LDK」タイプが最も多く、44%台であった。次に「2K−2LDK」の30%台、「3K−3LDK」の20%台、「1ルーム」は5%弱で供給の主流は「1K−1LDK」、「2K−2LDK」であった。
しかしながら、2009年では「1K−1LDK」が67%台まで増加し、「2K−2LDK」は15%台「1ルーム」が10%台、「3K−3LDK」が6%台と、近畿圏においても2居室、3居室タイプの供給が激減していることがわかる。

<図1> 大阪市と関西主要都市の新築賃貸マンション間取り別供給割合
図表1 大阪市と近畿圏主要市
(「(株)難波不動産鑑定」の調査による)

二、関西新築賃料の動向分析

2008年、2009年のタイプ別新築賃料の動向を分析した。

(1)「ワンルーム」タイプ
2009年の総額賃料は、対前年比+0.6%と微増で68,000円台、賃料単価は対前年比+1.4%増の2,372円/u(7,840円/坪)である。 占有面積は29u台で変化はないが、一時金月数は0.3ヶ月減少の3.2ヶ月で、一時金月数は調査開始年の2000年以降下落が続行している。


(「(株)難波不動産鑑定」の調査による)

(2)「1K−1LDK」タイプ
2009年の総額賃料は、対前年比△3.4%下落の74,000円台である。
賃料単価も2.8%下落し、2,208円/u(7,300円/坪)である。
占有面積は34u台で変化はないが、一時金月数は0.5ヶ月減の3.2ヶ月で、実質賃料単価では3%の下落となっている。


(「(株)難波不動産鑑定」の調査による)

(3)「2K−2LDK」タイプ
2009年の総額賃料は、対前年比+7.3%の125,000円台であるが、これは占有面積が2008年の60u台から2009年は62u台に広がったためで、賃料単価はほぼ同額の1,884円/u(6,230円/坪)である。
一時金月数は0.4ヶ月減の3.4ヶ月であり、実質賃料では0.2%減となる。


(「(株)難波不動産鑑定」の調査による)

(4)「3K−3LDK」タイプ
2009年の総額賃料は171,000円台で、対前年比1.0%の減少である。
占有面積は、83u台で変わらない。
賃料単価は、対前年比1.7%減の1,989円/u(6,580円/坪)であるが、一時金月数は0.6ヶ月減の3.6ヶ月で、実質賃料単価では1.9%減。
なお、「3K−3LDK」の賃料単価が「2K−2LDK」を上回っているのは、「3K−3LDK」タイプの新規供給は都心エリア(大阪市、神戸市、京都市の中心区、並びに阪神間)に集中しているため。2006年以降、Jリート、ファンドマネーが地方に流れ、都心部での賃貸マンションの供給の担い手となったが、その主たる供給タイプは、「1K−1LDK」の単身者向けと「3K−3LDK」以上の家賃20万円〜30万円の高額物件であった。
ちなみに、関西では家賃15万円を超えると高額賃料といわれ、一般サラリーマン等の需要はなく、主として自営業、企業等が主たる借手となる。


(「(株)難波不動産鑑定」の調査による)

(5)入居一時金月数の下落
2ヶ年続けて各タイプとも一時金月数は下落している。 下表は1988年と2009年の関西の平均一時金月数を比較したものであるが、2009年の一時金月数は「ワンルーム」、「1K−1LDK」は、1988年の1/2以下、「2K-2LDK」、「3K−3LDK」は同年のほぼ1/3になっており、継続的に一時金月数は下落の傾向にある。


(「(株)難波不動産鑑定」の調査による)

三、2009年関西の賃貸市場の予測

新築「1K−1LDK」の賃料値崩れが顕著
前編で述べたとおり、「1ルーム」タイプを除いて「1K−1LDK」、「2K−2LDK」、「3K−3LDK」タイプの賃料単価は下落に転じている。
特に供給の中心タイプである「1K−1LDK」タイプの賃料の下落が顕著となった。
「1K−1LDK」タイプの賃料の傾向をエリア別でみると、大阪市は横ばいであるが、北大阪エリアは△6%台、南大阪エリアも△7%台の大幅下落となった。
神戸エリアが△1%台、阪神エリアは+0.8%の微増、京都市は△2.1%と「1K−1LDK」タイプの供給が集中していたエリアで新築賃料の下落傾向が鮮明になっている。

占有面積は拡大・縮小エリアにより二極化
近畿圏の平均占有面積は2008年、2009年ともほぼ近似した面積で推移しているが、「1K−1LDK」についてエリア別にみると賃料単価の高い大阪市、阪神間は占有面積が1u前後小さくなり、いずれも33u台である。
反対に神戸エリアは約2u拡大し35u台、京都エリアは1u未満の拡大で32u台、大阪府下はどのエリアも占有面積は縮小傾向にある。
なお、賃料単価下落の顕著な地域ほど占有面積の縮小が目立つ。

一時金月数は下落が続行
1991年から1993年にピークアウトした住宅賃料は下落が続行していたが、2006年で上昇に転じた。
2009年ではタイプによるが下落が顕著になっている。このように賃料は上昇、下落をくり返しているが一時金月数は弊社調査開始の1988年以降、下落が続行している。

Jリート、ファンド賃料の下落
Jリート、ファンドマネーは都心の賃貸マンションの大量供給の担い手となっていたが、2007年のアメリカ発サブプライム問題に端を発した世界的金融収縮により、Jリート、ファンドの新規賃貸住宅の供給は急速に減退している。
既に稼働中の賃貸マンションでは、募集賃料の下落はみられないが、一時金0円、フリーレント2−3ヶ月という条件で空室の募集をしており、実質賃料自体は下落している。
しかし、2008年後半から空室率が上昇しているため、2009年はJリート、ファンド物件の募集賃料も下落すると思われる。

需要の変化による賃料の下落
2008年後半からの急激な景気後退に伴い、勤労者の家賃負担力は低下し始めている。これを受け、2009年は高い家賃から低い家賃へ、また持家マンションから賃貸マンション等への住み替えが顕著になる。これを裏付けるように2009年賃貸市場は2LDK以上のファミリータイプの動きが活発化している。
都心部でのシングルタイプの高家賃は企業の人材確保のための社宅需要並びに企業による家賃補助が支えていたが、景気後退に伴う雇用の見直し、経費の見直しにより借上社宅の廃止、家賃補助額の減額等が増加し、都心部賃料のみならず全般的な地域、タイプで賃料の下落、空室率の上昇が予測される。特に都心を指向する需要動向を分析すると「20歳〜24歳」台の若年シングルの割合が増加しており、賃料負担力が低くなっていることからもシングルタイプの賃料下落は続行する。

「所有」より「賃貸」の層の拡大
不動産価格の下落も続行しているので資産価値の下落を嫌い、「所有」より「賃貸」を選ぶ層が増えることが予測される。事実、マイホーム購入については収入の見通し、不動産価格の見通しがつかないため手控えた層が賃貸に流れている。

ファミリータイプの需要増エリア
近年、単身者向けマンション(「ワンルーム」「1K」「1DK」「1LDK」)に新規供給が集中していたため、核家族世帯向けファミリータイプ(主として「2LDK」タイプ)が不足している地域が表れている。

求められるきめ細かい立地マーケティング
以上を総括すると新規賃料の下落は需要の支払能力に応じた賃料に近づいているということであり、悲観的にみる必要はない。自動車産業の集中する中部圏、北九州圏域内の賃貸住宅の空室率は2008年末から急上昇している。関西圏は景気悪化の影響は深刻ながら、多くの異業種が集合する中小企業の街であるため一部の地域に集中して空室率が上昇することは考えにくい。エリア別では賃料が下落して、賃貸需要が増加し、稼働率が上昇している地域もみられることから「きめ細かい立地マーケティング」と「保守的な事業収支計画」を守れば、供給が減少し、建築費が下落している時期だけに賃貸経営計画は立てやすいといえよう。
「立地マーケティング」では誰向けの賃貸住宅かという需要分析も必須である。例えば京都市内では、同志社大学が文系、社会学部系学部を今出川キャンパスに集約、同志社女子大学も文系学部の一部を今出川に移転したことから、2013年までに9,100戸の学生マンション新規需要が見込まれているようにそのエリアでどういう需要があるのか長期的な展望も踏まえて調査が必要となる。
このように、エリアマーケティングの重要性を、ぜひ認識していただきたい。

以 上





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月刊不動産流通 2009年4月発行

賃貸住宅市場・近畿圏 −特集:どうなる?2009年の不動産市場−
 「新規の供給が急速に減退。エリアほぼ全域で賃料が下落傾向に」

 ―(株)難波不動産鑑定 代表取締役・不動産鑑定士・不動産カウンセラー 難波里美―

●単独世帯の増加が供給タイプに影響
 図表1は、2000年から2009年までの大阪市と近畿圏主要市(大阪市を除く大阪府、神戸市、明石市、阪神間6市、京都市、奈良市、大津市、和歌山市)の新築賃貸マンションの供給割合をタイプ別に表わしている。

(1)大阪市
 これによると、2000年の大阪市で最も供給量の多いタイプは「1K−1LDK」で、全体の約65%を占めた。
 次いで「2K−2LDK」(約24%)、「3K−3LDK」(約6%)、「1R」(約5%)と続いた。
 「1K−1LDK」タイプの供給はその後も増加傾向にあり、2009年では70%台を占める。
 また、「1R」も11%台に増加、「1K−1LDK」タイプと合わせると、シングル向けの供給が82%台になっている。
 反対に2居室、3居室のファミリータイプは、2000年の30%台から2009年の18%台と1/2近くまで減少している。

(2)近畿圏主要市(大阪市除く)
 2000年の近畿圏は「1K−1LDK」タイプが最も多く、44%台であった。次に「2K−2LDK」の30%台、「3K−3LDK」の20%台、「1R」5%弱と続き、供給の主流は「1K−1LDK」、「2K−2LDK」となっていた。
 しかしながら、2009年では「1K−1LDK」が67%台まで増加した一方で、「2K−2LDK」は15%台に減少、「1R」が10%台、「3K−3LDK」が6%台と、近畿圏においても2居室、3居室タイプの供給が激減していることがわかる。

図表1 大阪市と近畿圏主要市
※資料:毎年1月初旬(1週間)に不動産ポータルサイトに掲載される新築賃貸マンション情報をもとに集計

(3)単独世帯の増加
 図表2は、平成17年(2005年)国勢調査結果の近畿圏主要市の世帯内訳を表わしたものである。
 単独世帯の割合は大阪市が最も高く、約43%、ついで京都市(約40%台)、神戸市(33%台)である。
 大津市、和歌山市、奈良市は25%台前後で4世帯に1世帯の割合で単独世帯となっている。平成12年(2000年)の国勢調査結果と比較して単独世帯の増加率を求めると、大阪市が最も高く、ついで京都市、大津市、神戸市、和歌山市、奈良市(和歌山市、奈良市は同率)の順となっており、単独世帯の増加が賃貸マンションの供給タイプに影響を与えていることがうかがえる。

図表2 近畿圏主要都市の世帯内訳
※平成17年国勢調査結果に基づく

●一時金月数は調査開始以来下落が継続
 次に、2008年、2009年(1月時点)のタイプ別新築賃料の動向を分析した。

(1)「1R」タイプ
 2009年は、対前年比+0.6%と微増で68千円台、賃料単価は対前年比+1.4%増の2,372円/u(7,840円/坪)である。
 占有面積は29u台で変化はないが、一時金月数は0.3ヶ月減少の3.2ヶ月で、一時金月数は調査年の2000年以降下落が続行している。

(2)「1K−1LDK」タイプ
 2009年は、対前年比△3.4%下落の74千円台である。
 賃料単価も△2.8%下落し、2,208円/u(7,300円/坪)である。
 占有面積は34u台で変化はないが、一時金月数は0.5ヶ月減の3.2ヶ月で、実質賃料単価では△3%の下落となっている。

(3)「2K−2LDK」タイプ
 2009年は、対前年比+7.3%の125千円台であるが、これは占有面積が2008年の60u台から2009年は62u台に広がったためで、賃料単価はほぼ同額の1,884円/u(6,230円/坪)である。
 一時金月数は0.4ヶ月減の3.4ヶ月であり、実質賃料では△0.2%減となる。

(4)「3K−3LDK」タイプ
 2009年は、171千円台で、対前年比△1.0%の減少である。
 占有面積は、83u台でかわらない。
 賃料単価は、対前年比△1.7%減の1.989円/u(6,580円/坪)であるが、一時金月数は0.6ヶ月減の3.6ヶ月で、実質賃料単価では△1.9%減となる。

 なお、「3K−3LDK」の賃料単価が「2K−2LDK」を上回っているのは、「3K−3LDK」タイプの新規供給は都心エリア(大阪市、神戸市、京都市の中心区、並びに阪神間)に集中しているため、賃料、賃料単価とも高水準にある。
 ちなみに、近畿圏では家賃15万円を超えると高額な賃料といわれており、そうした物件は、一般サラリーマン等の需要はあまりなく、主に自営業や企業経営者等が借手であることが多い。

●2009年近畿圏の賃貸市場の予測

Point1 主要供給タイプ「1K−1LDK」の新築賃料の下落が顕著
 「1K−1LDK」タイプの賃料の傾向をエリア別でみると、大阪市は横ばいであるが、北大阪エリアは△6%台、南大阪エリアも△7%台の大幅下落となった。神戸エリアが△1%台、阪神エリアは+0.8%の微増、京都市は△2.1%と「1K−1LDK」タイプの供給が集中していたエリアで新築賃料の下落傾向が鮮明になっている。

Point2 占有面積は拡大地域と縮小地域の二極化
 近畿圏の平均占有面積は2008年、2009年ともほぼ近似した面積で推移している。「1K−1LDK」についてエリア別にみると賃料単価の高い大阪市、阪神間は占有面積が1u前後小さくなり、いずれも33u台である。
 反対に神戸エリアは約2u拡大し35u台、京都エリアは1u未満の拡大で32u台、大阪府下はどのエリアも占有面積は縮小傾向にある。
 なお、賃料単価下落の顕著な地域ほど占有面積の縮小が目立つ。

Point3 一時金月数は下落が続行
 1991年から1993年にピークアウトした住宅賃料は下落が続行していたが、2006年で上昇に転じ、2009年ではタイプによるが下落が顕著になっている。
 このように賃料は上昇、下落を繰り返しているが一時金月数は弊社調査開始の88年以降、下落が続行している。
 88年の「1R」、「1K−1LDK」の一時金月数は7ヶ月台、「2K−2LDK」、「3K−3LDK」は10ヶ月台であったが、2009年では全てのタイプが3ヶ月台となった。

Point4 JREIT、ファンド賃料の下落
 近畿圏では、2004年後半から東京圏から地方に拡大したJREIT、ファンドマネーが、都心の賃貸マンションの大量供給の担い手となっていた。しかし、2007年のアメリカ発サブプライム問題に端を発した世界的金融収縮により、現在では新規賃貸住宅の供給は急速に減退している。
 すでに稼働中の賃貸マンションでは、募集賃料の下落はみられないが、一時金0円、フリーレント2〜3ヶ月という条件で空室の募集をしており、実質賃料自体は下落している。しかし、2008年後半から空室率が上昇しているため、2009年はREIT、ファンド物件の募集賃料も下落すると思われる。

Point5 需要の変化による賃料の下落
 2008年後半からの急激な景気後退に伴い、勤労者の家賃負担力は低下し始めている。これを受け、2009年は高い家賃から低い家賃へ、また持家マンションから賃貸マンション等への住み替えが顕著になるであろう。
 都心部でのシングル向けの高家賃料物件は企業の人材確保のための社宅需要、家賃補助が支えていたが、景気後退に伴う雇用や経費の見直しにより借上社宅の廃止、家賃補助額の減額等が増加し、需要が減退。都心部賃料のみならず全般的な地域、タイプで賃料の下落、空室率の上昇が予測される。
 ただし、都心部を除く周辺部の賃料はここ2〜3年大きな上昇はみられなかったことから、底打ちが来年末くらいから観測される地域が出てくるものと予測している。

この先どうなる?近畿圏・賃貸住宅市場
「賃料下落は継続傾向へ」
 近畿圏は景気悪化の影響は深刻ながら、多くの異業種が集合する中小企業のまちであるため、一部の地域に集中して空室率が上昇することは考えにくい。むしろ、REIT、ファンドによる賃貸マンションの大量供給エリア(主として都心部)にて空室率が拡大していくことが予測される。
 都心を指向する需要動向を分析すると、近年30歳台シングルより20〜24歳台の若年シングルの割合が増加していることから、現在高止まりしている賃料は必然的に下落し、2011年までは賃料下落が続行するものと予測している。









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KTS通信(パナホーム株式会社近畿特建支社情報誌)   2008年11月発行

逆風下における不動産ビジネスのキーワード

 ―(株)難波不動産鑑定代表 不動産鑑定士 難波里美―

 平成19年夏、アメリカ発のサブ・プライム問題に端を発した世界的金融収縮の波はファンドバブルを一瞬して消し去り、平成20年に入ってからは全世界的株価下落に加え、日本では円高と実体経済に深刻な影響を与え始めている。
 特に、日本国内特有の問題としては、平成19年の建築基準法改正後の確認業務の長期化によるコストアップ、資材高騰による建築費アップが不動産価格に反映された結果、需要側は購入意欲が低下し不動産の売行は落ちている。
 簡単に図示すると下図のとおりとなり、いずれの要因もが地価を下押ししている。
こうした状況下の中で、不動産業者は販売促進すべく色々な知恵を絞っている。
 とあるマンションディベロッパーでは、売れ残りマンション住戸に若者に人気のある北欧家具をつけて分譲する等、色々な恩典、サービスをつけているが、これらは平成初期バブル崩壊後にも使った手で、真新しいものではない。
 ところが、こういう逆風下の時期でも住宅購入の顧客がウェイティングしているという北摂のS社がある。
 S社では、シックハウス対策のため自然素材により従来工法で家造りをしているが、何故ウェイティングが出るほどユーザーの人気を呼ぶのか、私なりに検証してみた。

S社のホームページでは、
1. 定期的に家づくりの勉強会を開いていること、現場説明会も頻繁に行っていること
2. 施行中の工事過程をホームページで公開していること
  施主は、現場にいかなくても工事状況が把握できること
3. 顧客アンケート結果を加工せずそのままアップ
4. 施主一家、S社スタッフが一緒になって刈入れを行うイベントがあること
等がみられる。

 「こんなことならウチもしている」という声が聞こえそうだが、まずこの会社を見ると、
(1) 情報を受信する力
(2) 受信した情報を処理する力
(3) 情報を蓄える力
(4) 情報を発信する力
の4つの力が備わっているようにみえる。

(1) 情報を受信する力とは、顧客とのコミュニケーション力に優れているということ。顧客にとっては、家造りに自分の要望がどこまで反映されるかが一番の重要ポイントであるが、この点の満足度が高いということは顧客と造り手側に十分な意思疎通があり、顧客の望みをいかに引き出す力に長けているかということである。
(2) 顧客から得た情報を処理し、情報を蓄える。やり方はいろいろあるが、ホームページをみる限り情報処理と情報貯蓄がうまくいっている。スタッフ全員が情報を共有しているようにうかがえる。
(3) 情報発信力とは、簡単にいうと上記で処理した「情報を他人に伝達する力」であるが、単なる情報伝達だけでなく相手方への理解力と説得力があって、はじめて活きてくる力である。

 需要側からみると、需要の要望としては工事施工者が自分のための家づくりをどこまでかなえてくれるかという点に集約されるが、十分なコミュニケーションがあって、自分ではよくわからない家づくりの工程の詳しい説明がなされ、かつその工程が逐次わかるという安心感と、自分も家づくりに参加しているという一体感が顧客満足度を高いものにしていると思われる。

このように、モノの売れない時代にモノを売るのは
モノを売る側の姿勢を明確にし
・顧客にそれを正しく伝え、また顧客に要望を隈なく吸収し、
・誠実に実践し
・結果を発信する
というプロセスが大事である。

これは何もモノの売れない時代に限ったことではないが、平成17年以降のミニバブルに不動産業界はモノづくりの本質をやや見失っていた観がある。

今こそ、顧客のためにチエを活かす時代ではないだろうか。

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KTS通信(パナホーム株式会社近畿特建支社情報誌)   2008年8月発行

「200年住宅」で不動産ビジネスはどう変わるか

 ―(株)難波不動産鑑定代表 不動産鑑定士 難波里美―

1.「200年住宅ビジョン」とは

 平成19年6月1日に自由民主党政務調査会から「200年住宅ビジョン」が発表されました。
 これは、住生活基本法に基づき、住宅の「量」から「質」の向上を目指し住宅のロングライフ化を計ることにより、ストック型社会へ転換していくための理念であり、12からなる施策を掲げています。
 「200年住宅」とは「200年もつ住宅」という意味ではなく、超長期にわたって循環利用できる質の高い住宅を象徴的に表わすために、「200年」という言葉を使っています。
 日本の「滅失住宅の平均築後年数」は約30年で、アメリカ(約55年)、イギリス(約77年)と比べるととても短くなっています。
 これは日本では、土地が一番の資産で更地が一番価値が高いという考え方が根強くあるためですが、「スクラップ&ビルト」(壊してはつくる)は資源の無駄遣いですし、産業廃棄物を出すことは環境に対してもやさしくありませんね。
 これからは耐久性、耐震性に優れた良質な住宅を造って、その価値を長期に亘って維持することが結果として資産価値をアップする、そういう市場が望まれるのです。
 さて、「200年住宅ビジョン」が掲げる12からなる政策提言とは、以下のようなものです。

(1) 超長期住宅ガイドラインの策定
 構造躯体(スケルトン)と内装、設備(インフィル)の分離、普遍的な住戸プラン、耐震性、耐久性、省エネルギー、バリアフリー性能等を確保して、個人的財産として長期にわたる価値を維持する住宅を整備し、社会的資産を形成。
 また建設、管理の履歴情報がバトンタッチされる整備システムの構築と活用をガイドラインにて表わす。

(2) 住宅履歴書の整備
 新築時の設計図書、施工内容のみならずリフォームや点検時の履歴を蓄積し、「住宅履歴書」として整備する。

(3) 分譲マンションの適切な維持管理のための新たな管理方式、権利設定方式の構築。
 居住者の高齢化や賃貸化が進むことにより、区分所有者間の合意形成が困難になりつつあることから、新たに専門的な知識、経験を有する者が責任をもって適切な維持管理を行う仕組みの構築を目指す。

(4) リフォーム支援体制の整備、長期修繕計画等の策定、リフォームローンの充実。
 インターネットによるリフォーム事業者の情報や、工事費の見積り等の情報提供とともに、リフォームなど住まいに関する相談を受ける支援体制の整備。
 既存住宅の購入に際して、リフォームを実施する場合の融資額の引き上げ等のローンの充実を計る。

(5) 既存住宅の評価の充実。
 「既存住宅の評価ガイドライン」を策定し、住宅の現状把握と既存住宅の性能評価を一体化させる。

(6) 既存住宅の取引に関する情報提供の充実。
 土地総合情報システムにて不動産取引価格情報が提供されているが、取引の目安となるこうした情報量を増加していくこと。

(7) 住替え、二地域住宅の支援体制の整備、住替えを支援する住宅ローンの枠組み整備。
 住替えを円滑にするための住宅情報や生活環境、就労に関する情報の提供のみならず、住宅を維持する際に売主の住宅ローンが買主に承継されるアシューマブルローンの枠組みの整備。

(8) 200年住宅の建設、取得を支援する住宅ローン等の枠組み整備。
 土地及び構造躯体(スケルトン)を対象とする買主に債務が承継される(アシューマブル)超長期ローンと、内装・設備(インフィル)を対象とする中期ローンを組み合わせるような仕組みの整備。

(9) 200年住宅の資産評価を活用した新たなローン(リバース・モーゲージ、住宅資産活用ローン)が提供される仕組みの構築。
 高齢者が住宅を担保として生活資金等の融資を受け、死亡時に住宅を処分して一括返済するリバース・モーゲージや、住宅の純資産価値(資産価値−住宅ローン残高)を担保として生活資金等の融資を受ける住宅資金活用ローン(ホーム・エクィティ・ローン)の仕組みの構築。

(10) 200年住宅に係る税負担の軽減。
 消費税、所得税、贈与税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税について、税負担軽減措置を計ることにより200年住宅取得のインセンティブとする。

(11) 200年住宅の実現、普及に向けた先導的モデル事業の実施。
 超長期住宅ガイドラインを具体化した住宅の建設プロジェクトを行い、モデル事業を実施。

(12) 良好なまちなみの形成、維持。
 地区計画制度や建築協定制度をはじめとする規制、誘導措置の活用を促進する等、良好なまちなみや環境を維持、形成するための枠組みをつくる。

2.「200年住宅」で不動産ビジネスはどう変わるか

 「200年住宅ビジョン」が発表されてから、住宅メーカー等はこぞって応援エールを送っていますが、ハード面を多く強調されているようです。 確かにスケルトン・インフィルや耐震性、間取りの可変性は重要なポイントとなりますが、ストック型社会では住宅を建てたあと、どうメンテナンスをして住宅の資産価値を保ち続けるかということが大事なのです。
 政策でも、(1) 長期修繕計画とそれを支援するためのシステム、(2)住宅の建設時の設計図書、施工内容、リフォーム、点検時の履歴を明らかにする「住宅履歴書」の整備が掲げられています。
 実は、この点がこれからの不動産ビジネスの大きなポイントになるのです。
 「長期修繕計画」を単なる修繕サイクルプランと捉えてはいけません。
 住宅を建てられた方々のライフステージによる家族構成の変化やライフスタイルの変化に対応して、その時々に最も適切なアドバイスができる、いわば住生活プランナーとして修繕計画を提案できることが大切なのです。
 そのためには税理士、FP(ファイナンシャルプランナー)、不動産専門職業家との連携も重要となりますが、何よりもお客様と末長いおつきあいができる組織づくりが必要となります。
 これからの不動産ビジネスは、住宅の資産価値を高めるノウハウを蓄積し、次世代へ承継できる住宅づくりをサポートするコンサルティングがますます重要になると思われます。

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月刊ネオス   2008年7月発行

「2008年賃貸住宅市場の動向」

 ―(株)難波不動産鑑定代表 不動産鑑定士、不動産カウンセラー 難波里美―

 三大都市圏における今年1〜3月の新築賃貸住宅の供給傾向と賃料を調査。
 それを基に、2008年度の賃貸市場の動向を分析しました。
 人気エリアの共通のキーワードは、「利便性」と「環境」。今年度は、需要集中地域と需要離れ地域の二極化傾向に拍車がかかると予想されます。

三大都市圏における新築賃貸市場調査のまとめ

 三大都市圏の主要都市について2008年1〜3月の新規賃料住宅の傾向を調査したところ、以下の点が指摘される(各都市の賃料水準は後添表を参照)。

(1) いずれの都市においても、人気エリアの共通のキーワードは「利便性」と「環境」。
特に首都圏では、東急東横線沿線の自由が丘に代表されるように、街の「ブランド」が定着しつつある。
(2) 名古屋市および近畿三大都市(大阪市・神戸市・京都市)は、都心回帰の影響から需要・供給ともに都心に集中。「住環境」より「利便性」を優先。
(3) 三大都市圏とも、供給の主流は「40u未満」のシングルタイプ。
ファミリー向けの「50u以上」のタイプは、供給が激減する。

2008年の不動産市場賃貸住宅市場はどうなる?

不動産市場の予測

2007年後半は、以下の景気後退要因により不動産市況は悪化している。

(1) 米国住宅バブル崩壊に端を発したサブプライム問題で、全世界的に金融不安を生じせしめ、クレジット市場、株式市場、為替市場に影響を及ぼしたこと。
(2) 原油高により製品価格、サービス価格が上昇したこと。
(3) 建築基準法の改正による建築確認許可の長期化に伴い、新設住宅着工戸数は4ヶ月連続でマイナスを記録したこと。
(4) 建設業界から始まった「偽装」が食品業界にも及び、消費者の信頼を損ねて購買意欲が減退していること。

以上の景気後退要因は、住宅地には以下の影響を与えている。

(1) 先行不安から、住宅取得の手控え。
(2) 勤労者世帯可処分所得が伸び悩んでいるにもかかわらず、地価、建築費の上昇により、住宅価格が上昇していること。

このため、2007年後半から住宅取得意欲は著しく減退し、地価が上昇していた地域にもストップ感が出始めている。
2008年前期までは、地価上昇に転じていた住宅地の価格は、おおむね横ばい傾向となるものと予測した。

賃貸住宅市場の予測

 2005年、2006年は、都心部でのレジデンシャルファンドによる1棟70〜100戸で最も賃料単価が高く設定できる、占有面積25u前後の「1K」タイプの賃貸マンションの供給が相次いだ。
 また、都心での分譲マンションも投資家向けに25u〜30uのワンルームマンションの分譲が急増しており、都心でのシングルタイプは賃貸、分譲とも競争が激化している。
 しかしながら、都心部に移り住む需要層の年齢は「20〜25才」が最も多く、賃料負担力は低い。
 にもかかわらず、シングルタイプは総額賃料が上昇しており、需給ミスマッチがおきている。
 また、2006年後半から建築費の上昇が顕著になっているが、建築費の上昇を賃料に転嫁できる程、需要は回復していない。
 賃貸供給は、建築基準法改正の影響のみならずその大量供給の担い手であったJリート、ファンドの手控えから供給調整が進んでおり、2008年の新規賃貸供給量は減少するものと予測される。
 2008年の新規賃料については、賃料ピーク観が出始めている地域が数多く観察され、特に都心部の賃料が頭打ちとなっているが、今年後半にかけては新規賃料調整(下方修正)エリアが増加するものと予測した。

首都圏人気最寄駅の家賃水準
※データ出典:賃貸情報ポータルサイト「フォレント」(リクルート)掲載の2008年1〜3月新築賃貸住宅から収集

●首都圏人気エリアの魅力を探る

 賃料水準のトップを走る東急東横線「自由が丘」「中目黒」「武蔵小杉」は、いずれも人気度の高いエリアである。
 特に「自由が丘」は広い世代から支持される超人気エリアであるが、その魅力について「メジャーセブンのマンショントレンド調査 Vol.7 」のユーザー向け「住んでみたい街アンケート」結果から探ってみると、「おしゃれ」「交通の便がよい」「好きな沿線」「洗練されている」「高級感がある」「街並みがきれい」等々の回答があり、街としてブランド力がある。
 反対にJR中央線「吉祥寺」は、「商業施設が充実」「交通の便がよい」「公園が多い」と「利便性」に着目した回答が多く、「横浜市」では「交通の便がよい」「海に近い」「通勤に便利」と自然的環境が高く評価されている。
 「38歳既婚で子供2人の家族世帯だったら住んでみたい街ベスト6」は、「吉祥寺」「自由が丘」「二子玉川」「横浜」「たまプラーザ」「新浦安」であり、いずれも「利便性」「住環境」が高い評価を得ている。

賃貸住宅市場の中期展望はいかに?

(1) 人口流出に歯止め、需要増が期待できる近畿圏

 三大都市圏の内、東京圏、名古屋圏は転入増加による人口増が続くのに対し、関西圏は1974年以降転出超過による人口減が続行していたが、転出超過数は年々減少しつつある。
 その原因としては2002年に工場等制限法が廃止されて以来、関西の工場立地件数が増加していることに関連していると推測される。
 最近では尼崎市に松下PDP工場、堺市にシャープ工場の大型設備投資が相次いでおり就業者数の増加、即ち住宅需要増が期待できる。

(2) シングルの都心居住指向は続く

 大阪市で調査すると1人世帯の割合は浪速区、中央区が64%台、北区が54%台で、他区は50%を割っている。
 間借り、下宿、独身寮の単身者も含めると福島区、天王寺区を除いた区は単身者の割合が50%を超えている。
 区人口に対する単身者の割合は、中央区がトップで39%台、次いで浪速区38%台、北区29%台でその他の区は22%台であることからも都心部にシングル需要が集中しており、この傾向は今後も続行する

(3) ファミリー需要は「利便性」プラス「住環境」

 住宅需要のキーワードは「利便性」即ち「時間の短縮」であるが、ファミリー需要は「利便性」の他、教育施設、利便施設、公益施設の充実に着目した「住環境」も重要視している。
 近年、この2つのキーワードを実現できる立地に需要は集中している。

(4) 賃貸住宅市場の二極化が進む

 以上の需要行動と少子高齢化による人口減少が相俟って、需要集中地域と需要離れ地域(二次交通を利用する、若しくは都心へのアクセスが悪い地域)の二極化傾向に拍車がかかる。

名古屋市・近畿三都市の家賃水準
名古屋市・近畿三都市の家賃水準
※データ出典:賃貸情報ポータルサイト「フォレント」(リクルート)掲載の2008年1〜3月新築賃貸住宅から収集

●名古屋市の新規賃貸供給動向

 新規賃料物件をみると、市の中核に位置する「中区」や名古屋駅のある「中村区」に40u未満のシングル向けの供給が多い。占有面積が広くなると、名古屋大学のある文教区の「千種区」や丘陵地帯に広がる「名東区」での供給が増加。
 名古屋市も、「利便性」と「住環境」が需要選好の大きなキーワードになっている。

●近畿三都市の新規賃貸供給動向

 大阪市では、大阪市の都心6区(北区、西区、中央区、福島区、天王寺区、浪速区)が最も人気エリア。
 シングル向けファミリー向けを問わず、大阪市の中で最も供給が多いエリアとなっている。
 神戸市でも都心の「中央区」また、阪神間に近く高級住宅地でもある「東灘区」「灘区」の人気が高い。
 「40u以上70u未満」の占有面積帯は、神戸市の上記3区以外での供給が多くなり、「70u以上」になるとまた、上記3区に供給が集中する傾向にある。
 京都市でも、都心回帰の傾向から「下京区」「中京区」の中心区と当該2区に隣接する「上京区」「東山区」「右京区」「左京区」での供給が多い。
 シングル向け物件も、家賃が200千円を超える高額物件も上記のエリアで供給が集中している。



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KTS通信(パナホーム株式会社近畿特建支社情報誌)   2008年5月発行

「都心部の地価の減速」

 ―(株)難波不動産鑑定代表 不動産鑑定士、不動産カウンセラー 難波里美―

 平成20年3月25日、地価公示結果が新聞紙上で発表されました。主要都道府県と主要市の地価変動率の結果を下<表1>のようにまとめてみました。
 これをみますと、地価の傾向が微妙に転換期を迎えたことがわかります。
まず近畿を見てみると以下の点が指摘できます。

(1) 大阪府住宅地の地価は上昇しているが、大阪府商業地の地価は上昇率が鈍化している。
(2) 大阪市住宅地の地価は+0.2ポイントだけ対前年比で上昇したが、商業地の地価はその上昇率が15.0%から11.7%に鈍化している。
(3) 京都府では住宅地の地価は対前年比で0.2ポイント上昇しているが商業地の地価上昇率は、平成19年のほぼ1/2にまで鈍化している。
(4) 京都市は住宅地も商業地も地価上昇率が顕著に減速している。
(5) ところが、兵庫県、神戸市、奈良県、奈良市、滋賀県、大津市は住宅地も商業地も、地価上昇率が拡大している。
(6) 和歌山県、和歌山市は未だ地価は下落しているが、その下落率は縮小している。

以上の傾向をみると、地価上昇の著しかった大阪市、京都市の商業地の地価は著しくその上昇率が減退しているのに対し、他府県の(都心部でない)上昇率が伸長するという地価の波状的な動きがみてとれます。
まず都心部の地価が上昇し、沈静化する頃に地方が上昇する構図で昭和末期から平成初期のバブル期も同じような地価傾向にありました。
では近畿以外ではどうなのでしょうか。

関東をみてみると以下のような点が判明しました。
(1) 東京都の住宅地、商業地の地価上昇率は伸長しているが、東京都区部では、商業地の地価は伸長しているものの、住宅地の地価上昇率は減速し始めている。
これを区部都心部でみるともっと顕著に表われており、平成19年+18.0%が平成20年+15.3%と上昇率が減速している。
(2) 神奈川県、埼玉県、千葉県では地価上昇率は住宅地、商業地ともに拡大しており、近畿ほど顕著でないが、都心部の減速徴候がみてとれる。

そこで、トヨタ本社が移転した名古屋市のある中部圏をみると静岡県が地価下落から地価上昇に転じ、三重県では地価下落率が縮小、若しくは反転上昇している中で、名古屋市の住宅地は上昇しているものの商業地は平成19年+16.1%から平成20年+15.8%とやはり上昇率の減速徴候がみてとれます。
その他の地域の政令指定都市をみますと、仙台市、広島市、福岡市、北九州市が地価上昇拡大、若しくは下落率の緩和がみてとれるのに、札幌市のみ、住宅地も商業地も地価上昇率が減速し始めています。
このように平成20年地価公示結果(平成19年1年間の地価の動向)は、都心部の地価上昇のピークが平成18年であったことを指し示す徴候が多く表われています。

都心部の地価上昇率減速の原因としては以下のものがあげられます
(1) 平成19年夏以降のサブプライム問題に端を発した金融収縮。
(2) 甘めの収益見通しによる投機的売買の結果の高家賃設定に需要がついてこれず収益悪化。
(3) 原油高によるコストアップが製品価格に転嫁できない中小企業の設備投資意欲の減退。
(4) 地価・建築費の高騰に伴うマンション価格の急上昇による需要離れ。

今後の地価動向としては残念ながら日本経済自体が踊り場にかかり株安、円高という厳しい局面にあることから地価の上昇率にストップがかかり、地価が反転、下落する地域の拡大が予測されます。

平成20年地価公示結果



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建築ジャーナル  2007年11月号(No.1128)   2007年(平成19年)11月1日発行
マンション事情

「金融商品」と化した大阪都心マンション

シングルマンション過剰供給の背景を、大阪の不動産鑑定士が分析

 ―(株)難波不動産鑑定代表取締役 不動産鑑定士、不動産カウンセラー 難波里美―

 木造2階建て住宅の真横に、30階の超高層マンションが建つ。そこは大阪市内のオフィス街。マンションの建設ラッシュが、都心の景観をますます混乱させている。しかも2006年度の市内6区(北、福島、中央、西、天王寺、浪速)におけるシングルマンション(単身者向け共同住宅)が、需要に対し3,600戸ほど供給過多となっいる。その実態を調査した市内の不動産鑑定士に、マンションの供給側と需要側のニーズを分析し、都心マンションの将来に潜む危うさを指摘した。

 「大阪市内のシングルマンション(賃貸)は、供給過多だが需要は確かに高い。1Kタイプが主流で、若い単身者層が増えている」と分析する難波不動産鑑定代表(大阪市西区)の難波里美さん。中心6区の人口の社会動態(転入−転出)表を指でたどりつつ説明する。
  「増加層は、18歳以上の学生や20代層、また女性30代のシングルなど」。一方で表は、人口の激増をすでに8年前から示している。1999年時点で前年の3倍である6,000人以上増となっている。以降毎年8,000人前後以上、2005年では10,000人増を突破。実はマンション供給は、2003年まで需要に追いついておらず、供給過多が顕著になりだしたのは2004年以降であるという。

家賃収入を投資家に配当

 マンションの都心への集中化傾向も高まり、2005年には地価が上昇。それに伴い供給側の背景も変化した。とくに賃貸マンションは、投資家向けの「金融商品」となった。
 従来の賃貸マンションの所有者は、相続税や固定資産税対策で建物を建設した土地所有者が多い。また、「利益圧縮」するためにマンションという不動産に投資する企業もあった。そして2005年頃から新たな所有者が出現した。東京発で全国の地方都市に一気に広がった不動産投資信託(J-REIA/アメリカ発祥のREIAの「日本版」)会社である。ここが保有マンションの家賃収入を投資家に配当する。賃料単価が高く、利回りのよい1Kマンションを投資の対象とすることが多いという。

スラム化する可能性あり

 もう一つは、個人が分譲マンションの数室を購入してエンドユーザーに貸し出し、家賃収入を得るという形態も現れた。年金制度に不安を持った資産家が「マイ年金」として安定した収入を確保する。
 こうした潮流に難波さんは一抹の不安を抱く。「シングルマンションの供給過多は、家賃設定も含め供給側が、需要者側のニーズを分析しきれていないことにある。
 さら問題なのは、マンションが投資の対象にされすぎていること。バブル崩壊時、高額賃貸マンションが破綻したのは、事業主や投資家が一斉に手を引いたからだ。今後、景気が悪くなれば同様のことが起こり得る。将来、スラム化するマンションも出てくるだろう。」
 大阪の建築行政への疑問もある。「大阪都心で、マンションが乱立してオフィス街としてのポテンシャルが下ってしまった地区もある。市は、働く場と住む場のゾーニングをしっかり行うべき。
 今の大阪のまちは、『景観』とはいえないぐらい美しくない」。



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建設通信新聞   2007年(平成19年) 9月25日

シングルマンション供給過剰

難波不動産鑑定調べ


大阪市内6区で3,000戸以上


 ―(株)難波不動産鑑定代表取締役 不動産鑑定士、不動産カウンセラー 難波里美―

 シングルマンション(単身者向け共同住宅)は供給過剰気味―。
  (株)難波不動産鑑定(大阪市西区)がまとめた大阪市内中心部のシングルマンションに関するレポートの中で、同市内の6区では需要に対し、3,000戸以上供給量が上回っている実態が明らかになった。以前から供給過多と指摘されていた大阪市内のシングルマンションの、実態を数字的に裏付けた格好だ。

 大阪市内の北・福島・中央・西・天王寺・浪速の6区を対象に、2006年度内のシングルマンション(分譲・賃貸)の供給量と、人口移動の社会増から求めた需要増を比較して需給状態を分析した。
  06年度に調査対象区に転入した単身者の推定数のうち、借家に住む割合(借家率)を乗じて賃貸需要を予測した。
  ヒアリング調査で集計した賃貸供給戸数を比較すると、浪速区を除く5区で需要が供給を上回り、その数は合計3,150戸に上ることが分かった。分譲マンションや持ち家購入の需要を考慮した場合、6区全体で3,600戸ほど過剰供給されているとも説明している。

  同社の難波里美社長は、供給過剰の背景を「需要と供給のミスマッチ」だと指摘する。「供給される部屋は『1Kタイプ』が主流となっているが、30歳台以上の単身者が増えるなど、シングルマンションをめぐる環境は大きく変わってきている。家賃設定も含め、供給する側がニーズにこたえきれていない現状があるのでは」と話している。



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産経新聞   2007年(平成19年) 9月20日

地価上昇 郊外へ波及

手ごろ物件に投資マネー


 ―(株)難波不動産鑑定代表取締役 不動産鑑定士、不動産カウンセラー 難波里美―

 関西地区において今年の基準地価から浮かび上がるのは、都心部の商業地の地価高騰が周辺の郊外に波及し始めた姿だ。不動産ファンドなどの投資マネーが、商業施設においては手ごろな価格の郊外で物件取得に乗り出した影響もある。(佐藤安津)
  大阪府堺市のJR鳳駅から約800メートルに位置する大規模ショッピングセンター(SC)「アリオ鳳」(仮称)。
  商業施設に特化して投資する日本リテールファンド投資法人(東京都千代田区)が今年1月、191億円で取得契約を締結した物件だ。総合スーパーを核にシネマコンプレックス、雑貨など約150の専門店で構成し、来春にオープンする。
  鳳駅には関西国際空港や天王寺と直結するJRの快速電車が停車し、堺市が「西の玄関口」として整備に力を注ぐ。SCの近くでは長谷工コーポレーションなどが南大阪で最大級のマンション(791戸)を建設するなど、数年以内に風景が一変する公算が大きい。
  「アリオ鳳」に限らず、不動産ファンドなどが関西圏の郊外で取得した商業施設には「駅から徒歩圏内」といった一定条件をクリアした物件が多い。郊外とはいえ利便性の高さで厳選されるわけで、「地域全体の魅力の高さが不動産ファンドの資金流入の呼び水になっている」(日本不動産研究所大阪支所の福山雄次参事)という。
  郊外や地方都市での商業施設は「中核テナントが撤退した場合が大変」といったリスクを伴うものの、関西圏の商業施設を中心に8物件を組み入れている阪急リート投資法人(大阪市)も、「地方都市での優良物件の取得を検討したい」と意欲をみせている。
  都心部商業地の地価上昇を狙った投資マネーは東京だけでなく平成17年以降、大阪や名古屋などに流入するようになった。しかし、難波不動産鑑定(大阪市)の難波里美社長は「昨年後半から鈍化気味だ」と分析。地価上昇の結果、それに見合う賃料が取れないなど、投資家側にとって「想定外のことが起き出した」からだ。
  大阪の代表的なオフィス街である御堂筋。周辺の不動産取引価格は3.3平方メートル当たり4,000万円程度が相場とされるが、さいと不動産投資顧問(大阪市)の足立良夫社長は「3.3平方メートルあたりに4,000万円台という高額物件の取引は今年春以降、あまり聞かない」と話す。地元の不動産業者も「3.3平方メートル当り5,000万円台で売り出されているが、買い手がつかないらしい」と指摘するほどだ。
  もっとも、郊外の商業地に熱い視線が注がれるのは「今のうち」との見方も少なくない。今年11月末に施行される改正都市計画法によって、駅前商店街などの活性化のため、床面積で1万平方メートル超の大規模な集客施設の郊外への出店は大幅に規制されるからだ。
  地価動向を左右する投資マネーはどこに流れるのか行方が注目される。



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日本経済新聞   2007年(平成19年) 8月18日

-電気の街にマンション次々- 日本橋変身

閉鎖店舗の跡地、利便性に注目 -路線価上昇に反映-


 ―(株)難波不動産鑑定代表取締役 不動産鑑定士、不動産カウンセラー 難波里美―

・大阪・日本橋

 東京・中央区の「にほんばし」に対して「にっぽんばし」と呼ぶ。古本屋街として知られたが、戦後にラジオの自作用パーツを扱う店などが現れたことがきっかけで電気街に発展。
 家電小売店が除々に増え、大型店に成長する企業も目立つようになった。2001年に大型店の「ヨドバシカメラ」や「ビックカメラ」が梅田となんばに相次いで進出するなどして客足を奪われ、家電店の閉鎖や業種変更が相次いだ。

 西日本を代表する電気街の大阪・日本橋(大阪市浪速区)で、閉鎖した電気店の跡地などにマンションの建設計画が相次ぎ、街の風景が変わろうとしている。街を貫く堺筋の路線価は16年ぶりに上昇したが、不動産専門家は「マンション用地として注目され、地価が上がった」と分析。「電気街からマンション街に変わる」という関係者もいる。東京・秋葉原と並ぶ「伝統の電気街を守りたい」と地元商店会は振興策に躍起だ。
 「これから日本橋は大きく姿を変えていきますよ」。南北に貫く堺筋沿いにある電器店跡地2ヶ所に、15階建てと14階建てのマンション建設を進める大阪市内の不動産開発会社の幹部はこう指摘する。
 同社は堺市筋近くにも12階建てのマンション建設を計画。三棟とも単身者向けのワンルームマンションで、賃料収入を投資家に分配する「投資ファンド」などに売却を予定している。幹部は「マンションが続々とできれば、入居者を当て込んだ飲食店などもできる。近い将来、街は変貌(へんぼう)する」と言い切る。
 電器店の閉鎖が相次ぎ、地元電器店で組織する「でんでんタウン協栄会」の加盟店は1999年の92社164店から、今年7月には72社90店まで激減した。
 日本橋に詳しい不動産関係者によると、昨年3月から約1年間に、堺筋沿いだけで10ヵ所で計3,700平方メートルを超える土地売買があった。こうした場所の多くでマンションの建設計画が浮上しており、建設中の敷地ではクレーンが伸びる場所も見られる。
 国税庁が今月1日に公表した路線価も"町の変化"を物語る。堺筋の路線価は91年をピークに06年まで下落を続けたが、今年は16年ぶりに前年比9〜16%余り上昇に転じた。多くの地点で上昇率は十数%を示し、マンション建設中の地点が最高の16.6%となった。
 大阪の賃貸マンション事情に詳しい「難波不動産鑑定」(大阪市)の難波里美社長も「大阪で過去にマンションが相次いで建設された場所は、商業地としては衰退していった」と指摘。「日本橋は利便性が高いため住宅ゾーンに変わっていく可能性が高い」と話している。



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KTS通信(パナホーム株式会社近畿特建支社情報誌)   Vol.02 2007年8月発行

都心部のワンルームマンションは供給過剰?

 ―(株)難波不動産鑑定代表取締役 不動産鑑定士、不動産カウンセラー 難波里美―

 2005年夏以降から大阪の都心部は急激な地価上昇となりましたが、その最たる要因としては東京都と関東圏に集中していたJリート並びに不動産ファンドマネーが一気に地方都市へ流れたことによります。関西では、大阪、神戸、京都の3都市、その他は、札幌、仙台、福岡、北九州市といった政令指定都市の中心商業地の地価が高騰しました。
  不動産ファンドの中では都心回帰による人口増に着目して都心部での単身者向け賃貸マンションの開発を専門にするいわゆるレジデンシャルファンドが活発化しました。


 <図1>は大阪市の貸家の新設住宅着工戸数をエリア別にまとめたものですが、大阪中心部(北区、中央区、福島区、西区、浪速区、天王寺区の6区)で大阪市全体の56%を占めていることからもいかに都心部での貸家供給に拍車がかかっているかおわかりになると思います。
  確かに大阪都心部では社会増(転入が転出を上回ること)により人口が増加しています。

(出典:国土交通省総合政策局「建築統計年報」のデータを弊社で図式化)

*本資料掲載の図、文章等を許可なく無断で複写、転載することを禁じます。

 <図2>は平成10年から平成18年の都心6区の社会増の増加人数を表したものですが、6区合計での社会増は、平成10年の2,211人から平成11年は6,005人と約3倍に増え、その後平成13年から平成16年間は7,000人〜8,000人台、平成17年には1万1千人台と大幅に増加しましたが、平成18年では8,008人となり、対前年比では△28%の減少となりました。

 さて、そこで各区にどれだけ一人世帯がいるのか調べて<表1>のとおりまとめてみました。一人世帯の割合は、浪速区、中央区が64%台、北区が54%で、他区は50%台を割り込んでいます。
 また、間借、下宿、寮に住む単身者も含めると福島区と天王寺区を除いて、全ての区で単身者の割合が50%を超えています。
 区人口に対する単身者の割合は、中央区がトップで39%台、浪速区38%台、北区29%台で、その他の区は全て22%台です。

(出典:平成17年国勢調査のデータを弊社でまとめた)

*本資料掲載の図、文章等を許可なく無断で複写、転載することを禁じます。

平成18年度に供給された単身者向けの賃貸住宅の戸数(分譲貸しを除く。但し弊社が建設業者並びに不動産業者にヒアリングしたもので全てが網羅されている訳ではない。)と予測される賃貸需要を<表2>のように比較したところ、全ての区で供給が予測需要を上回りました。

 「天王寺区」「福島区」は社会増加が200人弱と社会増加が少ないのにもかかわらず単身者向け賃貸住宅の供給戸数が社会増加数の約2倍から3.7倍となっており、供給過剰となっています。 他区でも、ヒアリング賃貸供給戸数は予測賃貸需要を上回っています。 新規供給されている賃貸住宅の賃料も「25〜29歳」男性の平均年収(377万円)からみた家賃負担率(30〜35%)を超えており、今後は都心の家賃の上昇も、賃貸住宅の供給も頭打ちとなることが予測されます。
以 上



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日本経済新聞   2007年(平成19年) 3月26日

マンション 好調にブレーキ? 大幅値引きの例も

 ―(株)難波不動産鑑定代表 不動産鑑定士、不動産カウンセラー 難波里美―

 近畿で分譲マンションや、家賃が高めの賃貸マンションの売れ行きが昨年秋から鈍り始めた。地価上昇に伴う物件の販売単価引き上げや供給過剰が影響した。景気拡大や金利先高観でバブル期並みに成約できた昨夏までの好環境は一変した。不動産業者は土地仕入れに慎重になり、「地価上昇は長くは続かない」「すでにピークアウトした」と弱気な見方も出ている。
 分譲マンションの大幅値引きが表われ出した。奈良県生駒市の近鉄生駒駅から徒歩8分の閑静な住宅地。大手商社が昨秋に完工したマンションの売れ残り住戸(専有面積82平方メートル)は今年に入り、当初の3,350万円から2,990万円に11%値引きして再募集した。
 「こんなに堂々とマンションの値引き広告を出した例はこの4、5年では覚えがない」と不動産経済研究所の石丸敏之・大阪事務所長は驚く。ベットタウンの生駒市は分譲マンション激戦地の1つ。同市の住宅地の今年の公示価格は平均1.6%上昇したが、石丸氏は「地価上昇に反してマンションの値下げが相次ぐ可能性がある」と指摘する。「マンション供給ラッシュの大阪・北摂や枚方市も要注意」という。
 大阪市中心部で急増した家賃が高めの賃貸マンションも供給過剰感が強まっている。大阪の賃貸マンション相場を定期調査している難波不動産鑑定(大阪市)の難波里美社長は「需給にミスマッチが生じている」と指摘。「保証金を大幅に安くして顧客の負担を軽くする例が相次いでいる。上昇してきた家賃にも天井感が出ている」と話す。賃貸マンションが増える大阪・心斎橋の商業地の今年の公示価格の最高地点は、昨年比41%上昇の1平方メートル当たり675万円。だが周辺では昨年、同1,000万円−1,200万円台と2倍の取引が相次いだ。「土地から上げられる期待収益で判定する公示価格に比べ、実際の相場は過熱している」とある不動産鑑定士は語る。マンションの売れ残りや空室の増加が鮮明になれば、地価上昇ピッチは急速に弱まる可能性がある。

(なんば・さとみ)
  1977年関西学院大学法学部法律学科卒業、90年難波不動産鑑定設立、業務内容は不動産の鑑定評価、不動産に関するコンサルタント、需要調査、賃貸住宅立地診断など。各種委員など公職のほか、講演会などで幅広く活躍。

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日本経済新聞   2006年(平成18年) 9月15日

投資マネー大阪に的

 ―(株)難波不動産鑑定代表 不動産鑑定士、不動産カウンセラー 難波里美―

 大阪市中心部でオフィス・商用ビルの高値売買が相次いでいる。日銀のゼロ金利解除後も長期金利が低位安定し、運用先を求めるファンドの資金が流入、価格を押し上げている。過熱する不動産取引の最新事情を探る。

不動産最新事情
「再開発で上昇余地」地元業者は過熱ぶり警鐘
「ツイン21」 680億円・心斎橋「OPA」 310億円

 MID都市開発(旧松下興産)系の不動産投資信託(REIT)、MIDリート投資法人は八月末、大阪市内のオフィスビル・商業施設の六物件の信託受益権(所有権)をまとめて千百三十五億円で取得した。バブル経済崩壊後、近畿で最大の不動産取引となった。代表的な物件で、松下電器産業の営業部門が入居する「ツイン21」ビル(中央区城見)の取得額は六百八十七億円に上る。
  同投資法人は八月二十九日に東証に上場、投資家から九百四十億円を調達し、不動産購入に充てた。REITの一投資口(五十万円)当たりの予想分配金は六ヶ月で一万二千八百九円。約一万の投資家の大半は一般個人だ。資産運用担当の神尾賢司・MIDリートマネジメント社長は「個人の資産運用に不動産投信が定着した」と指摘する。

公示地価の2倍

 二〇〇一年に初上場したREITは市場が急拡大。東京が中心だった投資対象も、相対的に割安感のある大阪市の中心部に広がってきた。一方でファンド資金の流入は不動産物件の取得競争を起こし、物件の相場や周辺地価の高騰を招いている。
 不動産ファンドのパシフィックマネジメント系のREIT投資法人は九月下旬、大阪・御堂筋沿いの若者の拠点ビル「心斎橋OPA本館」の所有権を三百十八億円で取得する。土地の取引価格は計算上、今年一月の付近の公示地価の二倍超。
  梅田の阪急梅田駅東側では八月末、海外有力ブランド「ZARA」が入店する茶屋町グランデビルの所有権を、東京建物系REIT投資法人が六十億円で取得した。土地部分の取引価格は付近の公示地価の三・五倍だ。運用担当者は「北ヤード再開発などで商業地としての魅力が高まり、梅田は不動産価格の上昇が見込める」と話す。
  東京都心はバブル期並みの不動産取引価格が出ているが、大阪市中心部はバブル期の三分の一程度。東京資本の不動産各社は「大阪のビルは老朽化した物件が多く、再開発で価値を高める余地は大きい」(野村不動産)と強気の見方が多い。

「東京並み困難」

 しかし、さいとう不動産投資顧問(大阪市)の足立良夫社長は「とても『適正である』との鑑定評価は出せない高値取引が相次いでいる」と過熱ぶりに警鐘を鳴らす。「御堂筋から一つ奥の通りに入ればビルの空室が多く、実需は弱い」からだ。
  取引価格の上昇は投資利回り低下につながる。テナント賃料から得られる純収益を不動産取得価格で割った「NOI利回り」は心斎橋OPA本館が四・〇%、茶屋町グランデビルが三・七%と、これまで大阪で標準レベルだったツイン21ビルの五・四%に比べ低い。
  難波不動産鑑定(大阪市)の難波里美社長は「怖いのは金利上昇時に利回りと借入金利の差がなくなったり、逆ざやになったりして投資家の信頼が失われることだ」と指摘。「大阪のテナント需要や賃料は東京ほどには望めない。需要分析や賃料設定はより慎重に判断すべきだ」と話している。

(なんば・さとみ)
  1977年関西学院大学法学部法律学科卒業、90年難波不動産鑑定設立、業務内容は不動産の鑑定評価、不動産に関するコンサルタント、需要調査、賃貸住宅立地診断など。各種委員など公職のほか、講演会などで幅広く活躍。

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建設通信新聞   2006年(平成18年) 8月2日

都心部の開発も活発化

 ―(株)難波不動産鑑定代表 不動産鑑定士、不動産カウンセラー 難波里美―

 中心商業地では短期転売でキャピタルゲインを求める動きが出始め、地価は高騰している。ただ、バブルの時は商業地から住宅地まで地域差なく地価が上昇したが、今回は都心部でも限られたところで動いている。では周辺部はどうかというと、地価は強めに動いており、住宅地でも大半がプラスに転じているが、土地転がしをするほどは上がっていない。鉄道便のない市町村とか、バス便しかないニュータウンといったところは人口が流出している。例えば豊能町などは人口が減少していっているし、南大坂の阪南市、岬町も減少している。働き盛りの若い人はみんな都心部に出て行っている。
  こうした地域は地価はなかなか安定しない。住宅地の地価が強めなのは、30代半ばのいわゆる団塊ジュニア層という、人口層の厚いところが持ち家取得の時期にあるためであり、マンションも戸建住宅も売れている。彼等がマイホームを探すところは「交通便が良い」、「環境が良い」、「学校区が良い」という3つのキーワードに当てはまるところであり、そうした「立地」は地価が上昇している。
  堺市を例にとると、地下鉄御堂筋線で都心に直結している「中百舌鳥」エリア、関空快速が停車することで「大阪」までノンストップでいけるJR「三国ヶ丘」「鳳」の人気が高い。
  これまではファミリー層は動かない層で、動いても同じ学校区内だった。それが2000年ころから学校区外へ飛び出し始めた。都心部の家賃、地価が下がったこともあるが、例えばニュータウンに住んでいた場合、ご主人の通勤先、奥さんのパート先、子供の通う進学塾も都心部に集中している。そうすると交通費などの家計費面から都心部に直結する環境の良いところを選択するようになった。
  飛び出すエリアも従来は、地縁がらみの沿線が多かったが、そういうこだわりも変わってきて、通勤、買物など利便性の良いところが選ばれている。そして短縮した時間を勉強や趣味や睡眠といった自分のために使うというようにライフスタイルも変わってきている。

マンション保有後5年で手放す人も

 最近の傾向としては、マンションの保有期間が短くなっている。5年くらいで手放す人も多く、中古流通も活発化している。バブル期の価格が高い時に買った人は価格が下がって売るに売れない状況だが、若い人たちは耐久消費材を買う感覚でマンションを購入している。そのポイントは立地の次はデザインなどのこだわりで選んでいる。不動産を所有するという感覚が希薄になって、「所有」から「賃貸」に住まいを替える抵抗感がない。  
 都心部のマンションは、投資向けのシングル系マンションが相当出ている。また一般分譲マンションの購入者層は、投資家とSOHO(自宅兼オフィス)的な使われかたと、エンドユーザーとで3分の1づつくらいだ。そのエンドユーザーとしてはDINKS・都心リターンの高齢者世帯がいる。大阪市内の超高層マンションでは住んでいるのは3分の2弱とも半分とも言われている。

阪神大震災以降社宅需要が増加

 都心の住宅はセカンドハウス、サードハウスという使われ方もあるが、社宅需要も増加している。阪神淡路大震災以降は、企業のリスクマネジメントとして、役員住宅を本社や支店まで歩いてこれるという点で都心でに設けているところも多い。一般社宅も従来からの郊外の社宅を処分し、都心部での借り上げ賃貸が増えている。
  このように都心に人口・世帯数が集中する反面、周辺区・市では人口減少がみられるように需要が「時間」をキーワードに動いている以上、街は選別されていく。今後、人口減少期に入れば、ますますこの傾向が進んでいくと思われる。

(なんば・さとみ)
  1977年関西学院大学法学部法律学科卒業、90年難波不動産鑑定設立、業務内容は不動産の鑑定評価、不動産に関するコンサルタント、需要調査、賃貸住宅立地診断など。各種委員など公職のほか、講演会などで幅広く活躍。

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KTS通信(パナホーム株式会社近畿特建支社情報誌)   Vol.11 2006年1月発行

「セキュリティはバイオメトリクス(生体認証)の時代」

 ―(株)難波不動産鑑定代表 不動産鑑定士、不動産カウンセラー 難波里美―

 賃貸マンションのセキュリティ対策といえば、オートロックや防犯カメラの導入が一般的ですが、分譲マンションではセキュリティ対策にバイオメトリクスがもうすでに使用されています。
 バイオメトリクスとは「生物個体の持つ特性」により人物を認識する技術で、「生体認証」とも呼ばれています。
  正式には、「バイオメトリクス・マシンビジョン技術」(Biometrics Machine Vision Techniques)といいます。
  実は、この技術の開発は1980年台に遡るのですが、目的は主として犯罪捜査のためでした。
  1995年頃からコンピューターネットワークの発達により、急速に需要が高まりました。
  ではどんなバイオメトリクス技術がどんな所で使われているのでしょうか。
  下表はそれを簡単にまとめてみました。

バイオメトリクス 特  徴 コスト 長  所 短  所

主として利用されている所

指紋

手の指の紋様

技術開発の歴史が古く普及度が高い。
認証精度が高い。
小型化低価格化されている。

心理的抵抗感がある。接触型なので汚れ、外傷、湿気に左右される。

入退室管理。
居住用(マンション、戸建て)
パソコンのセキュリティ

掌形

手の大きさ、長さ、厚さ、あるいは比率

認証精度が高い。

手のけが、経年変化に対応できない。

空港の入国審査
入退室管理

顔の輪郭、目や鼻の形および配置

心理的な抵抗感が少ない。
距離が離されいても認識できる。

眼がね、化粧等の認識に劣る。
双子など似た顔も認識に劣る。

空港の入国審査

虹彩

目の虹彩(アイリス)の放射状の模様

認証精度が高い。
偽造が困難。
生涯変化しない。

設置は高価で大型。

高セキュリティ施設への入退出管理

網膜

眼の網膜内の毛細血管の模様

精度が高い。
偽造が困難。
生涯変化しない。

装置が高価。

高セキュリティ施設への入退出管理
刑務所

声紋

音声の特徴

心理的な抵抗感が少ない。
電話も使えるので遠隔地での認証可。

虹彩に比べると精度は劣る。

パソコン認証、電話での本人確認

署名

署名の字体や署名時の書き順、筆圧

認証精度は高い。
心理的抵抗感が少ない。

本人拒否率が高い。

パソコン認証

静脈

手のひら、手の甲の静脈

非接触型なので汚れによる認識率の低下がない。
精度が高い。

最近の技術なので認知度が低い。

入退出管理

その他

耳介(耳の形)、DNA

 

多くは研究中。

 

 

 バイオメトリクスは身体的な特徴と、行動的な特徴の2種類に分かれますが、下表で身体的な特徴としては指紋、掌形、顔、虹彩、網膜、静脈等が該当し、行動的な特徴としては、声紋、署名が挙げられます。
  バイオメトリクスの中で最も利用者が多く、また普及台数も多いのは指紋照合で、国内のバイオメトリクスの85%が指紋照合だそうです。
  バイオメトリクスは鍵やICカードのように紛失、盗難、再発行のコストが掛からないという点でメリットがあるのですが、プライバシーの侵害や、機械に接触して認証するタイプは不衛生であるとか、主として心理的な抵抗感が強いみたいです。
  先だって、賃貸住宅の女性オーナーから、「他の入居者に迷惑行為を行った入居者に退居してもらったが、住人の話では今も空室になっている元の部屋に時々戻っているようだ。気持ちが悪い。」との相談がありました。その時はセキュリティ(主としてカメラ)ネットワークの方をご紹介しましたが、カメラで監視出来ても侵入の阻止は出来ません。本人を確認するバイオメトリクスをマンションの共用玄関だけでなく、各住戸のドアにつけることは、もう製品もあり可能なのですが、ネックは高コストなこと。
  しかし、需要が高まれば量産化されコストは下がっていくでしょうから将来は賃貸住宅のセキュリティ対策として普及していくことが予測されます。
  「あなたの家は指紋?手型?それとも目かしら?」なんて会話がはずむ日は近いかもしれません。



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建築ジャーナル  2005年8月号(No.1090)   2005年(平成17年)7月1日発行

「今後も、超高層マンションは増え続ける」

 ―(株)難波不動産鑑定代表 難波里美―

 近年、大阪都心では、不景気にかかわらず超高層マンションがどんどんと建つ。景観が激変するほどだが、周囲はオフィスビルゆえ、住民による建設反対運動も少ない。だが需要は本当にあるのだろうか。また林立する背景、ニーズはどのようなものか。不動産鑑定士に分析してもらった。

 超高層マンションの平均単価は、各区平均単価より高いのか。表は、大阪市都心6区(北区、中央区、浪速区、西区、福島区、天王寺区)における20階以上の超高層マンションの販売戸数を示している。各区全体の総供給に対する割合と、専有面積1u当りの平均単価が区全体の専有面積1u当りの平均単価を上回るか否かを調査した。

超高層マンションの価格は供給量が多いほど「平均」に接近

 北区の販売戸数ベースでは、2002年には12%台に落ちたものの、他年は30%台を超えている。特に2004年では35.5%とそのシェアを拡大。ところが専有面積あたりの平均単価でみると、2001年、2002年は区全体の平均単価を14%から26%と上回っていたのにもかかわらず、供給シェアが増加するに反比例して超高層マンションの平均単価は区全体平均単価と接近し始めている。
 中央区では、販売戸数ベースで2002年の47.2%から年々下落している。平均単価も2002年、2003年は、区全体を9%から14%上回ったのに、2004年では0.99%と区平均を下回る結果となった。
 西区は、販売戸数ベースの超高層のシェアが2002年以降25%〜33.8%の間にある。同区の超高層の平均単価は2003年に落ち込んだが、2004年は区平均を14%上回っている。
 福島区では2002年の販売戸数ベースの超高層のシェア29.8%から2004年は78.7%と急伸したが、平均単価は区平均を下回った。
 天王寺区では販売シェアは減少傾向にあるが平均単価は年々上昇している。
 浪速区は、2003年、2004年とも同じ棟の供給のみである。従って区平均と同価格となっている。
 都心6区の内、超高層マンションの供給が多いのは北区(4ヵ年販売戸数合計1,413戸)、中央区(4ヵ年販売戸数合計1,152戸)で、他区は天王寺区が299戸、それ以外は500戸台〜600戸台であった。
 以上から超高層マンションの平均単価は区内での供給量が多い区ほど、区平均単価に接近している。しかし、供給の少ない区では区平均より高く設定されている傾向が読み取れる。

大阪都心6区における超高層マンションの販売状況と価格

「超高層」だから売れているわけではない

 では、需要は超高層マンションを選好しているのか。超高層マンション販売戸数の多い北区、中央区で販売状況を見るため初月契約率を調べると、30%から50%の低調なマンションもある。決して「超高層」だから売れているわけではない。
 それでは、なせディベロッパーは超高層マンションを建てるのか。建設する理由として以下の3つが考えられる。
 一つ目は、超高層化することで敷地のゆとり空間を創出し、緑地空間を整備するほか、タワーの高層階にスカイラウンジ、シアタールーム、フィットネスルームなどを設け、マンションの付加価値を高めることができること。
 二つ目は、超高層のマンションは、低層階、中層階、高層階とランクが分かれており、低価格帯から高額物件までそろえることにより、需要層(ターゲット)を広げることができること。
 三つ目は、密集し、かつ高度利用化された中心市街地においては、高層化しないと住宅としての商品価値(日照、通風、眺望)を高めることができないこと。

「職住近接」を求める若者層の増加が需要を支える

 大阪都心部の需要増加と需要の実態はどうなっているのか。大阪市が調査した2004年中の人口の動きの特徴は3つ。
@2004年中の人口移動は5年連続の増加であること。A自然動態(出生―死亡)は減少しているが社会動態(転入―転出)による増加が上昇していること。B社会増加となっている区は16区であること。その増加数の最も多い区は、「中央区」「西区」「天王寺区」「北区」であり、中心6区の内3区が上位を占めている。また、社会増加率では「中央区」がトップ。ついで「天王寺区」「西区」「福島区」「北区」となり、中心6区の内5区が占め、都心中心区に人口が集まっていることがあげられる。
 上記の人口増加の中心となっている年齢層は「20〜24才」「30〜34才」が多く、15〜39才の年齢層で転入総数の7割を超えている。最も移動の多い「20〜24才」「30〜34才」の移動の理由は、「仕事」を一番に挙げる人が最も多く「職住近接」を求めていることが分かる。彼らが都心に住むメリットとして実感しているのは「職住近接」。それによって「家族、友人と過ごす時間が増える」「睡眠時間が増える」「遅くまで仕事ができる」ことが可能となる。また「都心だから買物、外食に便利」「最新の情報を手に入れることができる」などがあげられる。
 また、50才以上の年齢層も都心Uターン現象が見られ、こうした層も都心に住むメリットとして「公共交通機関があり便利」「病院へ通うのが便利」「買物に便利」「独立した子どもたちも(都心なら)寄りやすい」など、利便性に注目した回答が多い。

多機能なニーズに応えるためマンションは大規模化

 人口増加時代には郊外に移動するドーナツ化現象が見られた。しかし人口減少時代には、反対に都心に集中するアンパン化現象になっている。こうした需要集中を背景として、都心部のマンション供給が急増している。
 特に都心部の分譲マンション購入者の動機としては、「SOHO的な使い方をするために購入」「賃貸用不動産として投資する目的」「都心居住」の3つに大きく分けられる。
 こうした需要は従来の「住むために快適なマンション」だけではない。「仕事の場として快適かどうか」といった多機能性を要求しており、多種多様なニーズに応えるためにもマンションの大規模化(超高層化)の傾向は、今後も続行するものと考察した。



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全国賃貸住宅ニュース   2005年(平成17年) 5月5日

「2005年賃貸住宅市場の動向」

 ―(株)難波不動産鑑定代表 難波里美―

 ことしの賃貸市場の動向について、どういう特徴があるか−。大阪市の新規賃料の動向を大阪市の新築.築後1年の「1ルーム」「1K〜1LDK」「2K〜2LDK」「3K〜3LDK」の市場動向を調べた。
 大阪市を
▽大阪東部=都島区、東成区、生野区、城東区、鶴見区
▽大阪南部=住吉区、東住吉区、平野区
▽大阪西部=住之江区、此花区、港区、大正区、西淀川、西成区
▽大阪北部=東淀川区、淀川区
▽大阪中心部=福島区、北区、中央区、西区、天王寺区、浪速区、阿倍野区
に分けて、ことしの新規物件の賃料をまとめた。

「1ルーム」タイプの傾向

 まず「1ルーム」タイプの傾向は、大阪市内といえども新規の供給量は減っている。供給量が集中しているのは中心部で、大阪市全体27件中15件は中心型で供給されている。占有面積は平均25平方メートルで、年々広くなっているが、西部、北部では26平方メートル、東部、南部は1件ずつしか集まらなかった。18平方メートル、16平方メートルと、これはバブル期かバブル期以前の占有面積だが、中にはこういうものも出ている。賃料の方は大阪市全体では3%の下落、東部、南部、西部は上昇、北部は下落しているが、いずれもデータ件数が少ないため傾向を表しているとはいい難い。一番多い中心部だけで対前年比マイナス7.5%だから、1ルームマンションまで落ちた形になる。これは占有面積が拡大したことによるものと思われ、総額賃料を抑える方向にある。過去4年間、2002年から2005年のそれぞれのエリア別の1ルームの新規賃料の動きは、中心セクターは2003年から2004年には上がって、2005年にはまた下がるという形になっているが、この中には占有面積が広くなって、総額を抑えるため単価が落ちてきたということである。
次に「1K〜1LDK」タイプの傾向は、大阪市全体の支払い賃料は2000年以降、対前年比1%未満の微減傾向にある。件数は262件と、大阪市内で供給されているのは圧倒的に1K〜1LDKタイプが多い。中心部は153件(58%)データが集まっており半分を超えている。次に多いのは北部エリアで61件、西部エリアは11件と少ない。

占有面積増え賃料総額抑える傾向に

 この占有面積は、大阪市29.27平方メートル、中心部29.42平方メートル、南部が30.49平方メートル、北部30.14平方メートルで、拡大傾向がみられる。
 賃料の方は大阪市がマイナス0.7%と大体横バイだが中心部はマイナス2.8%と少し落ちている。これは1ルームの傾向と同じで、占有面積が広がってきて、総額を抑えて、単価が弱含みという形になっている。
 件数の多い中心セクターは2500円から2650円の間を這うように、まあ安定しているといってもよいと思う。その他のエリアについては件数が少ないのでバラつきが大きく、傾向性がとりにくい。

「2K〜2LDK」タイプの傾向

 次に「2K〜2LDK」タイプで注目したいのは中心部の件数10件の平均占有面積が76.39平方メートルと、3LDKとあまり変わらないこと。大阪市の占有面積は69.09平方メートルで支払い賃料は平方当たり2286円。これは中心部の占有面積、支払い賃料が上がったので大阪市全体が上がった。
 この中心部は、去年のデータのときは、占有面積が40から50平方メートルぐらいと、小ぶりなタイプが多かった。ところが2005年は大型化された。普通、占有面積が広がると、総額賃料が上がるので、なるだけ借りやすい賃料にもっていく。面積が広がると単価は下がるが、中心部は面積が広がったのに賃料も上がっている。いわゆる都心部で、また高額物件が出てきているということだ。

高額物件も供給

 実際に北区では平均占有面和が82平方メートル台で総額家賃が19万円台だった。西区の占有面積70平方メートル台で総額36万円の高額物件が供給されている。こういう傾向は2、3年前から天王寺区とか中央区、西区、北区という中心部でその傾向が出てきていたが、数は少ない。高額物件が出始めているというのが今の市場の特徴である。
 また、この中でも2極化が進んでいる。

3K〜3LDKタイプの傾向

次に「3K〜3LDK」タイプの傾向だが、大阪市で5件しかデータが取れていない。占有平均積は70.67平方メートルで支払賃料は1874円(平米当たり)で対前年比はマイナス18%。それでは3LDKはそれだけ下がっているのかといえば、それはちょっといえないところがある。
 中心部で2件あったが、これも占有面積は77.69平方メートルと、先程の2LDKと1平方メートル余しか変わりない。支払賃料は2083円で対前年比マイナス9.9%である。
 中心部は2001年から2003年までは、平均占有面積68平方メートルで推移していたが、2004年では78平方メートル台と一気に拡大し、2005年も78平方メートル台で推移している。
 2005年で供給があったのは天王寺区と阿倍野区の2件で、天王寺区では総額19万円台の高額物件だった。阿倍野区は占有面積72平方メートル台の総額13万5000円である。
 ここで着目すべきことは2居室タイプも3居室タイプも面積はあまり変わらないが、3居室タイプは減って2居室タイプが中心になっているということである。

成約事例からみた変化

次に成約事例にみる賃料市場の変化を分析してみた。
調査エリアは
▽大阪都心部(浪速区、淀川区、天王寺区)
▽北大阪エリア(吹田市、池田市)
▽京阪エリア(枚方市)
▽阪神エリア(西宮市)
で、調査内容はタイプ別の2003年と2004年成約事例を比較してみた。
 この結果、傾向がはっきり出てきた。

1ルーム減り「1K」増加

 それによると、大阪都心部のシングル向けは「1ルーム」の成約が減少し、賃料は下落。「1K」「1DK」「1LDK」の契約が増加し、賃料は横バイ基調。これは新築だけでなく既存の分も含む。
 ファミリー向けは64〜65平方メートルの「3LDK」の成約が増加。平米当たりの賃料は横パイ基調。「2LDK」の賃料は下落傾向にある。

中心部は広い「1LDK」ふえる

 その他の特徴としては、新築では占有面積77〜78平方メートル台の「1LDK」(家17万5000円〜18万円)、占有面積52平方メートル台の「1LDK」(家賃10万1000円〜10万8000円)といった供給が増加しつつある。
 今まで占有面積と居室タイプは大体平均化されたイメージがあった。1ルームだったら20平万メートル前後、2DKだったら45平方メートル前後とか、3DKなら53〜55平方メートルと、大体このようなイメージがあったが、今は占有面積と間取りタイプの相関性がなくなってきているというのが特徴である。ということはお客さんのニーズが変わってきているということである。
 北大阪エリアのシングル向けは吹田市、池田市には学生需要があるので「1ルーム」「1K」「1DK」「1LDK」の各タイプの賃料は横バイ、もしくは微増傾向にある。

DKタイプ減りLDKが主流

 ファミリー向けは「2LDK」「3LDK」に需要が集中している。「2DK」は成約が減少傾向にある。これもいろんな地域を調査していると傾向としてつかまえられるのはDKタイプは昔多かったが、いま成約件数は減っている。LDKが人気の主流になっている。また2DKは最近はシングルが借りるのが非常に増えている。
 京阪エリアのシングル向けは「1K」の需要が伸長しており、平米当たりの賃料は横バイでる。「1ルーム」の賃料は下落傾向にある。「1DK」の新規供給が増加しつつある。
 ファミリー向けは「2LDK」「3LDK」が中心であり、賃料は弱めの横ばい基調にある。ところが、ファミリー需要が集中する占有面積が60〜70平方メートル台になると落ちが目立っている。つまり50平方メートル台が堅調である。

「1K」に人気

 阪神エリアのシングル向けは「1ルーム」「1K」の成約が多く、最近は特に「1K」の成約が伸びている。「1DK」「1LDK」の成約も伸長している。
 ファミリー向けは「2LDK」「3LDK」が中心で、「2DK」「2LDK」「3LDK」の平方当たりの賃料はいずれも横ばい傾向にある。

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ESTRELA  2004年10月号(No.127)   2004年(平成16年) 10月10日発行

「都心の住宅に駐車場は必要か」

  ―定性分析と定量分析―

 不動産鑑定にとって定性分析と定量分析は自転車の両輪のようなものだ。
前輪、後輪どちらの1つ欠けてもうまく運転はできないように定性分析、定量分析のいずれが欠けても正しい評価にたどりつけない。どのように分析しているか1つ例を挙げよう。
 平成10年以降大阪市の中心6区(北区、福島区、中央区、天王寺区、西区、浪速区)の人口は転出者数を転入者数が上回り増加傾向にある。
 大阪市の人口移動調査によると移動の中心となっているのは20歳代の男女であり、近年都心6区における分譲・賃貸住宅の供給が著しい。
 「平成10年住宅・土地統計調査報告」によると、大阪市内の借家世帯が駅から499m以内に居住する割合は約50%、大阪市中央区ではその割合が約68%であり、都心部中央区の借家の大部分が駅至近立地であることが分かる。
 また中央区内は市営地下鉄各線が縦横に、JR大阪環状線からは放射状に鉄道網が敷設されており自家用車の必要性は低くなっている。
 地元の宅地建物取引業者に対するヒアリングによると、一般的に都心での需要対象は、若年層では駐車場の必要性が低いが、ファミリー層や中年層では都心でも駐車場の必要性は高くなるということである。
また市外からの転入者はマイカーを手放して都心部に移住してくる層が多いことも併せて聞いた。
それでは都心の賃貸マンションで駐車場のありなしではどちらが優位であろうか。
 そこで以下の定量分析を行ってみた。
 1つは賃貸事例の登録日から成約日までの日数を市場滞留期間として駐車場の有無で差があるか否か、2つ目は駐車場の有無で家賃に高低があるかどうか調査した。 結論から言うと、市場滞留期間の調査では、中央区について見ると、駐車場がある場合の滞留期間は29.7日、駐車場がない場合の滞留期間は31.8日でほぼ1ヶ月と同程度である。ただしサンプル数が、駐車場がある事例が9件、ない事例が108件と事例件数に偏りがあるため統計的にその誤差が大きい(95%の区間推定でその範囲は17.0〜42.4日)。
従って都心6区について同様の調査をしてみると、駐車場がある場合の滞留期間23.0日、駐車場がない場合の滞留期間29.3日で駐車場がある場合の滞留期間の方が約1週間短い結果を得た。
(事例件数はそれぞれ100件および462件、95%の区間推定でその範囲は19.5〜26.5日、27.3〜31.3日)。

 
   図1 駐車場がある場合の賃貸物件市場滞留期間
 
  図2 駐車場がない場合の賃貸物件市場滞留期間




 次に中心6区における市場滞留期間と占有割合をまとめてみる(図1,2参照)。  
 駐車場がある場合については滞留期間1週間以内が27%を占め、1/4以上が登録から1週間以内に成約に至っている。
 駐車場のない場合は1週間以内は18%、成約まで2ヶ月超が14%であり、駐車場のある物件が市場で優位なことが分かる。
 さて次に駐車場の有無による家賃への影響であるが、都心6区でワンルーム等の単身者向け賃貸住宅の成約事例(223件)を重回帰分析を用いて検討してみた。
  この検証を行うに当たっては、対数線形モデルを採用することとし、これに駐車場の有無というダミー変数(0または1)を加味して駐車場有無の効用を検討する。
 
:占有面積(u) :最寄駅までの距離(分) :所在階(階)      
:建築年数(年)              
   建築年数についてはその建築年について下記のようなカテゴリーを用いた。
 
1970年代築 1980年代築 1990〜95年代築 1996〜98年代築 1999〜2000年代築
1 2 3 4 5
:バルコニーの方位(北から効用の低い順にカテゴリーとして1〜7までの数値を置く)
:駐車場の有無(なし:0、 あり:1のダミー変数)
および :パラメータ
下式は収集事例を用いて上記のモデル式につき、それぞれパラメータを求めた結果である。
 
上記の式につき住戸の想定をし、駐車場がある場合と駐車場がない場合の家賃の変化を検証する。(図3)
(駐車場なし)   (駐車場あり)
想定住戸
占有面積 30u
最寄駅までの距離 5分
所在階 4階
建築年数 新築
バルコニーの方位
駐車場の有無 なし
月額賃料 78,199円
占有面積 30u
最寄駅までの距離 5分
所在階 4階
建築年数 新築
バルコニーの方位
駐車場の有無 あり
月額賃料 79,129円
図3 駐車場がある場合とない場合の家賃の変化
 結果は駐車場なしの月額賃料78,199円に対し、駐車場ありの月額賃料は79,129円、その差は930円であった。
 以上から駐車場ありの賃貸住宅の方が駐車場なしの賃貸住宅よりも市場性に優れるが、賃料における開差率は僅か1.2%と僅少であり駐車場がないことによる大きな市場性の減退は見られないという結論を得た次第である。
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建築ジャーナル  2004年9月号(No.1073)   2004年(平成16年)9月1日発行

「シングル世代が支えるマンション需要」

 大阪市内のマンション建設活況の背景


大阪市内に、超高層マンションが相次いで計画され、建設が進められている。
 関西経済は相変わらず不振だ。しかし、マンション建設事業は活況を呈している。居住者の都心回帰は本当なのか。その現状と背景を、大阪市内の不動産市場を調査する難波里美氏(難波不動産鑑定)に分析してもらった。
 
 
大阪市内の景観を変化させていく高層マンション郡。計画は目白押し、建設棟数も日々増しているように思える。
 西日本最大の高層マンションを目指すのは、阪神住建の「キングマンション」。西区本町の旧大阪銀行(現在近畿大阪銀行)跡地に建設予定だ。敷地面積は2,690u。50階建て以上、500戸以上となる。2007年に着工。
 再開発ビルでは、北区天神橋に「ぷららてんま」が建設中。SRC造地下1階地上28階建て、延床面積47,500uのマンションとなる。地下1階から2階までに「天満市場」など60店舗を入れる。6階から28階までが都市再生機構の賃貸住宅。2006年3月竣工、4月にオープン予定。設計・監理は東畑建築事務所だ。
 

人口が増加した大阪市内6区
 
マンションは実際に増加している。難波氏は「2004年関西不動産市場の予測」の中で報告する。「大阪市内のマンションは、1994年から供給量が伸びた。1999年から年間6,000戸より増加、2001年以降9,000戸台となった。2003年は1月から10月で、すでに7,431戸。その時点で神戸の2倍、京都の7倍になった。」
 特にマンション需要の多いのは市内6区(北区、中央区、福島区、西区、天王寺区、浪速区)。1995年から2000年、6区合わせて人口は、35万人から37万人に増えている。一方、大阪市全体は260万人前後でほぼ一定だ。
 
 
 晩婚化でシングルタイプが主流
 
「変化の境目は1997年」と難波氏は指摘する。「賃貸マンションでは、1LDKの供給が倍増。広めのシングルタイプが、3LDKなどのファミリータイプを抜いて、市場の主流となった」。この頃より、市内に転入する若年層が急増。10代20代の学生、30代前半までの社会人が都心への通学、通勤のために移住した。10年後、単身者の晩婚化と、夫婦のみの層の増加より、シングル需要が定着。「住」に対するこだわりから、マンション設計へのニーズも多様化した。
 地域による特色もある。西区では、学校施設が充実しているのでファミリー層が多いが、それ以外の区では少なく、子供の数は減少している。
 企業による需要も多い。社宅、事務所などに使用する。幹部が暮らす場合もある。阪神・淡路大震災の教訓からで、非常事態の際、会社のある都心で指示を出すことが出来る。
 こうした事情で、入居率は100%だが、数割ほどしか住まい手がいないマンションも多い。マンション建設は、人口を増加させたが、コミュニティーが稀薄な地域を拡大させている。
 

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Evaluation 2004年NO.13   2004年(平成16年)5月15日発行

「道路占用許可に基づく敷地利用権価格」についての論文

 *論文は長文のため、省略させて頂きます。

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住宅新報   2004年(平成16年) 5月4日(火曜日)
" 鑑定士も守備範囲広く "

 「不動産鑑定」という言葉で思い浮かぶのは土地の鑑定評価だが、最近は不動産鑑定士の守備範囲も広がり市場調査やコンサルティングなどを積極的に手がけるようになってきた。 そこで、難波不動産鑑定(大阪市西区)の難波里美社長に同社の多彩な取り組の一端を聞いてみた。

携帯ウェブと看板
 賃貸マンションには、たいてい「入居者募集」の看板が掛けてある。普通は「空き室あり ○×不動産 電話番号」という内容だ。この看板にURLナンバーを記載し、関心を持った人が、間取り、家賃、保証金などの詳細 情報をケータイで入手できるのが「不動産携帯システム」だ。一定の予備知識があれば不動産業者に電話してみる気になる。「空き室あり」だけではそうはいかない。開発したのはサポートベーシックという会社だが、システムに載せる情報をセレクトするなど監修を担当したのが難波さんだ。 長年、賃貸住宅の市場調査を続けていると、若い人が何を求めているかが見えてきて、このアイディアに結び付いたという。従来の看板は制作費がかかったが、同システムでは異業種の広告を載せることで、不動産業者は制作費も利用料も無料となる。看板というアナログ広告と、ケータイウェブのデジタル広告の組み合わせだ。


取引適合性を調査
 高利回りを期待して収益ビルを購入したものの、数年経つと空き室が増えたり、設備の更新や修繕費などでビル経営に行き詰まるケース が見られる。バブル期に購入したケースに多い。こうしたリスクを回避するために、同社では阪急東宝グループのエイチアンドエムコンサルタントと提携して、「取引適合性調査報告書」(MRCレポート)を購入計画者に 提供している。鑑定評価・マーケティング・不動産の有効活用のノウハウと、建設投資・建物維持管理のノウハウとをワンパックにして、投資家の意思決定に役立てようというものだ。前者のノウハウは難波不動産鑑定が担当し、後者のノウハウはH&Mが担当する。内容は、対象不動産の物理的状況から、適性用途、経常費用、修繕費用に加えて、将来性、さらには賃貸市場の動向までを網羅している。 市場にマッチしているかどうかが分かる仕組みだ。

SI賃貸をコンサル
 賃貸住宅の退去時における原状回復のトラブルが目立つが、その対策に役立つとして同社が取り組んでいるのが、スケルトン・インフィル賃貸に関するコンサルティングだ。 オーナーは建物の躯体(スケルトン)をつくり、これを所有する。ただし、風呂、洗面、炊事場などの水回りはきちんとしつらえる。入居者は自分の費用で内部空間(インフル)、 例えば内装を思うように仕上げる。間仕切りも自由自在だ。退去時には自分が取り付けたものを外せばよく、問題は起きない。同社の調査では、都心部に住む人で”家を購入しなくても良い。 賃貸で時間を掛けて好きなように作りたい。でも、合う物件がないと考えている層が現れているという。好きな壁の色を選びたい、自由がきく賃貸へのニーズが生まれている。賃貸はニッチ市場でコンセプトが作りやすいと難波さんは指摘する。      

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月刊プロパティマネジメント 9月号   2003年(平成15年) 9月1日発行
○市場分析レポート (株)難波不動産鑑定 難波里美社長に聞く

大阪都心部の不動産状況は流動化に向けて最終局面を迎えている

大阪都心部では、居住人口の増加地区が顕在化し、2極化の潮流が見え始めている。膠着状態の不良債権処理もいよいよ動き出し、不動産の流動化も本番を迎えようとしているようだ。本稿は大阪の難波不動産鑑定の調査資料と、同社社長難波里美氏へのインタビューに基づき、編集部が整理、再構成したものである。

編集部
大阪都心部の実勢地価はピーク時の20分の1以下に下落

 平成2年以降、関西地区の地価およびオフィス・住宅の市場状況をウォッチしている難波不動産鑑定のデータをみると、大阪都心部の地価の下落のすさまじさがよく理解できる。
 同社が調査した土地取引の実態を示す「土地価格」は、「梅田」ゾーンにおいて、平成2年(1990年)を100とすると、平成14年(2002年)は、何と8.4ということになる。つまり10分の1以下に下落したわけである。この数値は平成2年、14年ともに7件の取引事例の平均価格であるが、平成14年の事例が仮に不良債権の処分案件だとしても、その下落の激しさにはいまさらながら驚きを禁じえない。
 ところが、隣接ゾーン、オフィス街のメッカである御堂筋を中心とするゾーンである「淀屋橋」の同年の土地価格は、平成2年に対する指数値で4.2というレベル、何と20分の1以上の下落ということになる。ただし、平成2年の「淀屋橋」の「土地価格」が「梅田」と比べて異常に高いことを考慮して、平成3年との比較でみても5.3。まさに20分の1の価格なのである。
 この「土地価格」は、「公示価格」を大きく下回るもので、平成14年の「梅田」では1.5倍の開きが生じている。「淀屋橋」で1.6倍、「肥後橋」だとほぼ2倍となる。逆に「新大阪」は「土地価格」のほうが「公示価格」より1.3倍高くなっている。この10年、「新大阪」を除いて、「土地価格」は常に「公示価格」を下回る動きを示している。とくにこの数年の「淀屋橋」「肥後橋」での乖離が目に付く。その点からみれば「梅田」も平成14年になって、周辺ゾーン並みになったといえなくもない。
 いずれにしても、大阪都心部の地価は、バブル時代は論外としても、平成9年、10年ころと比べても、「土地価格」「公示価格」ともに半値のレベルにまで下落している。

成約賃料は、公表データの6掛けレベル

 もっとも、不動産投資の観点から見れば、地価下落という事態は必ずしも問題とばかりはいえない。問題は地価の下落が今後、いつまで続くのかということと、地価と賃料相場および空室率との関連で、不動産の収益性がどう変化するかということである。
 この点からみると、バブル崩壊後、この10年の大阪都心部の「平均賃料」の動向は、極端な下落を示していない。というよりも、「淀屋橋」では平成2年より2.8%アップしている。
 この平均賃料のデータソースは、「IKOMA Office Market Report」であるが、この点について、難波不動産鑑定の難波里美社長は、「この平均賃料は、限定されたエリアにおける物件の公表された募集ベースの賃料ですから実態とはかけ離れている面がある」と指摘する。
 難波社長によれば、たとえば船場地区の場合、幹線道路に接する物件を除くと、募集賃料で坪当たり8,000円〜1万円の物件が、成約賃料は5,000円〜6,000円のレベルまで下落しているという。成約実態は、募集賃料の60%程度ということになるわけだ。
 「当社が最近調査した谷町ゾーンでは、大半のビルで空室率が35%以上になっているんです。ですから市場の公表データに依存した投資判断には大きなリスクがあります」(難波社長)。
 したがって、大阪での投資対象となるオフィスビルは、「グレードと立地で物件を徹底的に選別することが必要となります。特に立地が重要で、2ウェイ、3ウェイの交通結節点となる駅から徒歩5分程度の範囲に絞らなければならないでしょう。歩いて10分となると、利用ニーズは激減します」(難波社長)ということになる。
 こうしてみるかぎり、大阪の不動産不況は、バブル崩壊による地価下落に端を発し、現在は経済基盤の弱体化そのものの反映とみなければならないだろう。言うまでもなく、東京一極集中による関西経済圏の「1割経済圏化」という事態と直結する。その反映としてのオフィス街の空洞化である。
 日本経済新聞(関西版・02年9月10日付)によると、関西経済(2府4県)のGDPシェアは、2001年の15.1%から2030年には10.8%に凋落する。その最大の要因は人口の流出にあることは間違いない。
 日本総合研究所の試算では、関西の生産年齢人口は、01年の17.3%から30年には16.7%へと0.6ポイント減少するとの予測だ。すでに95年から2000年の間で大阪府内の「一般事務従業者」9万4,800人、「会社・団体等の役員」5万4,200人、合計14万9,000人減少したという。
 1人当たり床面積を約7坪(全国ビルヂング協会・床面積ベース)とすると、約60万坪分が不要になったことになる。1,000坪クラスの中規模ビルにして600棟分がすべて空室化したことになるわけだ。

公示地価に現れない地価上昇地帯

 こうしてみると、大阪の不動産市場には将来的にも厳しい環境が待ち受けているとしか言いようがないが、実際は都心部がすべて空洞化するわけではない。逆説的にいえば、都心部での2極化、優勝劣敗が歴然とするなかで、新陳代謝が進むとみることもできる。先のデータにみるように、大阪の都心部の地価は毎年下落を続けており、「好立地の御堂筋やナビオ阪急のあたりの公示地価が前年対比で0%といった状況」(難波社長)という。ところが、公示価格では依然として値下がりしているが、実際は地価が上昇している地域があると、難波社長は指摘する。南船場(中央区南船場4丁目周辺)と呼ばれる地域である。
 「このエリアの地価は平成12年時点が底バイ状態で、坪あたり220万円前後でしたが、いまは反転上昇して300万円程度にまで上昇しています。店舗賃料のほうはもっと早くから上昇していて、現在、角地で坪5万円という成約もでています。一般的水準で2〜3万円前後になっています」(難波社長)。
 この南船場は、御堂筋と長堀通りの交差する心斎橋交差点の北西側、長堀通りを挟んでアメリカ村と向き合う地域である。顧客の低年齢化したアメリカ村に飽き足らない小資本のファッションメーカーによる店舗やレストランなどが自然発生的に集積してきた街である。すでに女性誌やタウン誌でも頻繁に紹介され、アメリカ村卒業組といったふうの20代から30代の女性が客層の中心。店舗の収益力もよい。
 この地域は、元来、御堂筋のバックヤード的存在で、倉庫や銘木問屋の作業所などが集積していたという。時代の変化のなかで、衰退 空洞化が進んだ地区だったわけだが、手づくり感覚の店舗が中古ビルに新たな息吹を与え、そのコンバージョンの連なりが街を再生させたともいえる。
 しかし、このエリアも東京資本の進出もあって、アントレプレナーには、もはや“家賃が高すぎる”そうで、いまや高感度エリアの潮流は、その西側、四ツ橋筋と浪速筋に挟まれた西区の南堀江・北堀江・新町といった地域へと滲みだしているという。

都心部へと移動する居住ニーズ


 その滲み現象が起きつつあるエリアでは、新たな商業エリアの可能性とともに、都心型住宅地として集積が進みつつある。「そのなかでも、四ツ橋筋となにわ筋に挟まれたエリアは、店舗と住機能が混在する、単身者向き賃貸マンションエリア、一方、なにわ筋の西側はファミリー向き分譲マンションのエリアに識別されます」(難波社長)。
 大阪の都心部も、昨今は東京と同様に住宅ニーズが高まっており、大阪市の人口も20年来減少を続けてきたが(平成7年は阪神・淡路大震災の影響で一時的に人口増になった)、平成12年に増加に転じている。
 とりわけ都心6区のうち、浪速区を除く、北区、中央区、西区、天王寺区、福島区の5区では社会増が顕著になっている。都心帰りの主体は学生・会社員など、10代後半から20代の単身者たちである。こうした若年層の都心帰りは、JR東西線の開通および私鉄(特に阪急各線)との相互乗入れによって、都心と大学のある郊外エリアとの交通利便性が高まったことに一因があるという。
 従来は、学校とアルバイト先の中間点にあった居住地が、都心に住むことで時間給の高い深夜のアルバイトに就けるメリットがあり、「遊び」と「情報の入手」において効率性が高いことが、都心居住の魅力なのである。一般の勤め人も仕事や家族との生活面での時間の効率性を追求するなかで、都心居住を選択する意向が強まっている。 また高齢者の都心帰りも進んでいる。「病院通いや家族との連絡の取りやすさといった利便性もありますが、昔住んでいた土地へのノスタルジーといった側面もあるようです」(難波社長)。実際、数十年開かれなかった同窓会が復活するなど、失われた地域コミュニティが復活する兆しさえ見え始めているのだそうだ。
 こうした背景から、大阪都心部の賃貸住宅市場は好転している。ここ3年、シングル向けの賃貸マンションは増加をつづけているが、稼動率も高く、賃料も横バイ状況にある。
 難波社長によれば、こうした大阪都心区およびその周辺区の住機能の特徴は、エリアごとに以下のように整理できるという。

@北区 社会人のシングル層の比重が高いが、学生層の流入も目立ってきており、入居率95%以上のところが多い。
A中央区 社会人の需要が多くなっており、シングルの会社員ばかりでなく、企業の役員社宅需要も多い。かつて役員社宅が集中していた阪神間より連絡がとりやすく、緊急時の意思決定がスピーディに行える点が評価されている。
B天王寺区 もともと高額賃貸マンションの需要がある地区で、この傾向は変わっていない。学校区の評判がよいなど、教育環境が整っていることから、シングル、ファミリーともの需要が見込める。
C阿倍野区 都心6区外に位置づけられるが、教育環境や住環境がよいとされ、シングル、ファミリーともに需要が高い。近鉄南大阪線のターミナル・あべの橋付近に、阪南大学など沿線の大学に通う学生が集まる傾向もある。
D西区 前述したように、なにわ筋より東はシングル、西はファミリーの需要が多い。
E浪速区 都心部の中では住宅としては厳しい地区である。もともとミナミの繁華街で働く従業員の需要が多いが、不況の影響で需要は減少しており、一方、学校の問題もあってファミリーには不向きとされている。ただし、地下鉄千日前線の桜川駅周辺では新婚やシングル需要がある。
F福島区 北区に隣接する東側はシングルのニーズがあり、さらにキタの繁華街で働く従業員のニーズも多い。
G都島区 福島区とは逆に西側が大川を挟んで北区と接していることから、キタで働く人の受け皿地区になっており、新婚、ファミリーの需要がある。
 以上、難波不動産鑑定の資料と難波社長の分析をもとに、大阪の都心部における不動産実態を俯瞰してみた。
 マクロの状況を追えば、20年以上の人口流出がつづき、地価・賃料の下落、空室率の上昇という数字ばかりが目につくが、260万人に及ぶ巨大都市の生命力は常に新たな変化を生み出している。その意味では、大阪の不動産状況は、すでに新たな局面を迎えているようだ。難波不動産鑑定の調査によれば、2000u以上の大規模画地の取引が、前年比で20%増とのことであり、そうした状況の変化を捉えて、難波社長は「不良債権処理で膠着していた市場が流動化に向けて最終局面に向かっており、需要分析と立地分析を間違えないかぎり、大阪都心部への不動産投資はたいへん面白い時期を迎えている」との判断を示している。
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日本経済新聞   2002年(平成14年) 9月10日(火曜日)
関西再生  ジリ貧「1割経済」の悪夢 オフィス・人減少やまず

 関西経済の地盤沈下に歯止めがかからない。これまで経済団体や有識者が数多くの改革プランを提案した。しかし、実効は上がらず時間だけが流れた。二十一世紀に関西が直面する危機はどれほど深刻なのか、関西の再生はどこまで可能か。大胆な仮定に基づくシミュレーションで検証する。 三十年後の関西経済はどんな姿か。日本経済新聞社が大和総研に委託した分析によると、二〇〇三年度以降、日本の国内総生産(GDP)が実質一.五%成長を続けるとすれば、二府四県の域内総生産が日本のGDPに占める割合は、二〇三〇年には〇一年の一五.一%から一〇.八%に下がる。ほぼ現在の九州・沖縄八県の水準だ。
中部圏が猛追
 「関東大震災直後の一九二四年、大阪市とその周辺だけの総生産でも全国の約二三%を占めた」(宮本又郎大阪大学教授)が、戦後は首都圏の復興で関西のウエートは下落。特にここ十年はじり貧で、首都圏との差は広がり、逆に中部圏の猛追を許した。 三十年後の関西経済を試算した大和総研アメリカの岡野進・主席エコノミストは「人口減少が予測より進むことも考えられ、関西の比率の下振れ懸念がある。関西経済の危機は一層深刻になる」と指摘する。

中心部賃料下落
 関西経済のシェアが一ケタ近くに落ち込む兆しはすでに表れている。「これでは東京・八王子並みだ」。不動産コンサルタントのアイディーユー(大阪市)の池添吉則社長は驚いた。今年八月、御堂筋沿いのオフィスビルの賃料交渉で、ビル所有者が三.三平方メートル当り月一万円を提示したとのうわさが流れた。このビル周辺の相場はバブル時には三万円台後半だった。一万円となると首都圏では都心から西に約一時間離れた八王子の水準。大阪から東京への本社移転が進む一方、外資企業の流入は東京に比べ圧倒的に少ない。「大阪のオフィス街の空洞化は予想以上に速い」(池添社長)という。大阪の違法駐車も減っている。毎年四月の平日午後に大阪府警が調査する「瞬間路上駐車台数」によると、今年の大阪市内の違法駐車台数は九万千五百三十七台。実にバブル経済全盛の八九年の約半分の水準だ。 駐車対策課の前田秀和警視は「都心のビルの跡地に、時間貸しの駐車場が増えたことが大きい」と分析する。時間貸し駐車場大手のパーク24の佐々木賢一経営企画室長は「遊休地の活用を事業とする当社にとって大阪は事業機会に富む」と語る。 関西の人口の全国シェアは七〇年から二〇〇一年の間はほぼ横ばいだが、生産年齢人口(十五−六十四歳)の全国シェアは一八.〇%から一七.三%に低下した。

消える働き手
 日本経済新聞社の依頼で日本総合研究所が実施した試算では、二〇三〇年の関西の生産年齢人口シェアは一六.七%と現在より〇.六ポイント減る。日本総研は「生産年齢人口の減少が地域経済の衰退を加速する」と指摘する。 役員や一般サラリーマンら働き手が除々に大阪から姿を消している。大阪府内の「一般事務従事者」は九五年から二〇〇〇年の間で九万四千八百人減少し、「会社・団体等の役員」も五万四千二百人減った。 「家族を伴う転勤者向け賃貸マンションの需要は関西では大幅に減少している」。関西の住宅事情に詳しい難波不動産鑑定(大阪市)の難波里美社長は自社の調査結果をもとにこう指摘する。 今年七月初め時点での大阪市、阪神間、北大阪の新築賃貸マンションのうち、間取りが「2K」以上は七十九カ所で全体の四一%。九六年の七〇%に比べ大幅に下がった。学生や独身者が入居するワンルーム型の増加もあるが、家族を伴い関西に移り住む転勤族の減少を示している。 オフィス街の空洞化に歯止めをかけ、生産年齢人口を増やす。この命題に答えられなければ関西の「一割経済圏化」いや、「一ケタ経済圏化」の日は確実に来る。

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日刊工業新聞   2002年(平成14年) 2月4日

サポート 新事業が急成長  04年に上場を目指す

 サポート(大阪市天王寺区大道1の7の13、高橋和孝社長、06・6776・4848)の 携帯電話を活用した空き室検索・看板事業が急成長している。

 2001年10月にホームページアドレスを記載した不動産看板(写真)の事業を開始、 12月末までに約1万枚設置した。 今年2月末には10万枚に達する見込み。
04年には同事業などで売上高を100億円とし、早ければ同年中の上場を目指す。

 事業名は「サポート携帯不動産システム」で、ビジネスモデル特許を出願済み。 携帯電話で看板に記載された物件アドレスを入力すると、最新の入居(空き)状況や 賃料・保証金、間取り図を表示する。 不動産会社へも画面上からワンタッチで連絡可能。 空き室がない場合は入居希望を登録することもできる。

 難波里美・難波不動産鑑定社長が監修し、実用的なシステムとした。

 
同社は不動産看板に広告枠を設け、引っ越し会社などから広告収入を受け取る。 10万枚達成時には同事業で売り上げ22億円を見込む。 現在は近畿圏が中心だが、近く、東京に支店を開設、その後全国の主要都市で フランチャイズチェーンなどによる多店舗化を進め、全国展開する方針。

 同社は2000年設立のベンチャー企業。不動産の総合運営管理、介護、 店舗コーディネート、ライフカウンセリング事業など、コーディネート機能を生かして ノーリスクで、短期創立を目指した共同参画型事業を手がけている。

 各業界・分野でトップかトップクラスの会社と対等の立場で共同事業を行うことで 新事業の開発に専念し、高い利益率を確保してきた。 01年2月期の売上高は約1億5000万円。資本金7700万円で、従業員は45人。

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